Up 「大切な人の命を守るために」 作成: 2020-07-01
更新: 2020-07-01


    「大切な人の命を守るために」
    このフレーズは,主語を隠し,そして途中でちょん切ったものである。
    これは,わざと曖昧にしているのである。
    都合よく解釈してもらうためと,突っ込まれないためである。
    洗脳レトリックとは,こういうものである。

    全文は,つぎの形になる:
      「大切な人の命をAが守るために,Bは自粛せよ」
    ひとは,つぎのように受け取り,このフレーズに洗脳される:
      A = B = 己

    これは間違いである。
    なぜなら,己以外の命は「己が守る命」として存在するものではないからである。
    命を「己が守る命」と定める──これを「傲慢」「何様と思っている」と謂う。


    厚労省「平成30年(2018) 人口動態統計月報年計(概数) の概況」の死因別死亡数の表 (第6表) によると,交通事故の死亡数は 4596人。
    これは,インフルエンザの 3323人より多く,そして新型コロナの死者数はまだ 1000 より下。

    新型コロナに対し「大切な人の命を己が守るために,己は自粛せよ」となるのであれば,自動車運転に対しても「大切な人の命を己が守るために,己は自粛せよ」となるはずだが,そうはならない。
    なぜか。
    「大切な人の命を己が守るために,己は自粛せよ」は,妄言だからである。

    では,ひとはなぜこの妄言を新型コロナに適用するのか。
    これが洗脳というものだからである。