Up 「平和」イデオロギーの黄昏 作成: 2022-03-25
更新: 2022-03-25


読売新聞, 2022-03-25



    正論を装う謬論を,イデオロギーと謂う。
    正論を装う謬論の方法は,《事実を隠蔽して虚偽を事実に捏造》である。

    「平和」イデオロギーは,人間/生物の事実を隠蔽し,虚構としての「人間/生物」を立てる。
    したがって,人間/生物の正体が露わにされる時節は,「平和」イデオロギーが黄昏れる時節である。

    現実は,つぎのことを明らかにする:。
      核兵器の恐ろしさを知ることは,核兵器を無くしたくなることではない。
      その逆で,核兵器を持ちたくなることである。


    生物は自分の子孫を残すために,他と争う。
    そして,最も争うことになるのは,同類の他者である。
    繁殖要件が同じなので,争いが最も苛烈になるのである。

    この圧力は,生物を「軍拡」の方向に進化させる。


    強い武器を持たない者は,持つ者に勝てない。
    勝てないので,できることはやられないようにすることである。
    どうやって?
    方法は,結局2つである。
    即ち,<媚びる>と<虚勢を張る>。

    北朝鮮ミサイル発射に対する「許されない暴挙で断固として非難する」「断じて容認できない」は,<虚勢を張る>である。
    「許されない」「容認できない」ということばは,これのつぎに「よって○○を行使する」が続いて,意味をもつ。
    一方,北朝鮮ミサイル発射に対する「許されない暴挙で断固として非難する」「断じて容認できない」は,これに続く「よって○○を行使する」が無い。
    ゆえに,<虚勢を張る>なのである。


    この状況は,何とかならないものか?
    何ともならない。
    不合理が進行しているわけではないからである。
    合理が進行しているのである。
    是非も無し。