Up 肺胞の常在微生物叢 作成: 2022-03-10
更新: 2022-03-10


    本テクストは,「肺常在微生物叢」を肺胞に限定して論考する。
    「肺常在微生物叢」のことばは,特に断らない限り,<肺胞>常在微生物叢を指す。


    肺胞については,「大きさ 0.1〜0.2mm,その数3億個,肺の容量の85%を占める,表面積の総計は成人で 100m2」の説明がある。
    表面積については「テニスコートの広さ」と言うものもあり,この場合は 200m2 ということになる。

    肺は外界に開放されている
    その外界は,空気1cm3 に10万のオーダーの個数で微粒子が存在する。
    そしてそれらの多くが,空気を吸うと肺胞にまで達するくらい小さい。

    その微粒子は,つぎのような内訳になる:
    1. 無機物
    2. 有機物 (生物由来)
        微生物──生体・休眠体・死骸 (の破片)
        菌類の胞子
        花粉,等

    肺胞は,これら微粒子がそのままでは蓄積するところである。
    そしてさらに,つぎのものが蓄積する:
    • 肺胞からの滲出物
    • 肺胞細胞の老廃物・死骸

     註 :「肺胞細胞の老廃物・死骸」について
      細胞の寿命は,種類によって異なる。
      肺胞の上皮細胞の寿命については,データが無い。
      一方「皮膚の細胞の寿命は約1か月,小腸の上皮細胞は1日」が出回っているので,これを信用すれば,肺胞の上皮細胞の寿命もこの間で考えればよさそうである。


    肺胞ではこれら蓄積物が逐次処理されていることになる。
    ──そうでなければ,肺胞は蓄積物でいっぱいになってしまう。
    では蓄積物の処理システムになっているものは何か?
    「常在微生物叢とその他」ということになる。

    そしてこのとき, 「肺胞に蓄積し処理されるもの」に,つぎが加わることになる:
    • 常在微生物の老廃物・排泄物・死骸