肺常在微生物叢は,ひとが生まれて最初の呼吸をしたときから,形成が開始する。
常在微生物叢には,個性がある。
──現前の常在微生物叢は,つぎの表現である:
- 宿主がこれまで生きてきた環境
- その中で宿主が選択した生き方
宿主の環境・生き方は,そっくり常在微生物の制約要件になる。
微生物のニッチを制約し,そしてこのことで微生物の種類・構成を制約する。
喫煙者は,「常在微生物叢の進化」のわかりやすい例になる:
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喫煙者の肺胞は,特にタール,ニコチンを処理しなければならない。
実際,喫煙者がいま健康でいられているとは,肺胞がこの処理をうまくやれているということである。
さて,その処理は?
付着したタール,ニコチンは,咳で排出できるものではない。
有毒であるから,血液に融かして移送ともいかない。
分解して無毒化するのみである。
これをやれるのは,微生物だけである。
よって,タール,ニコチンを分解し無毒化する微生物が,常在微生物のなかにいることになる。
喫煙者は,このような微生物が繁栄する方向に常在微生物叢を進化させているわけである。
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