Up | 肺胞の風邪免疫システム | 作成: 2022-03-13 更新: 2022-03-13 |
鼻風邪は,ふつうのことである。 ──気づかないほどであれば,「無症状」ということになる。 「軽症」は,咽頭炎・気管支炎から。 そして肺炎は,「重症」扱い。
風邪ウィルスは肺胞にまで到達していることになるが,肺炎はそう簡単には起こらない。 なぜか? ウイルスにとって,肺胞上皮細胞に取り付くことは簡単でないからである。 上皮細胞は,防御されている。 そう,常在微生物叢によって防御されている! 常在微生物叢は,微生物と「土壌」である。 微生物のうちには,ウイルスを貪食するものがある。 ウイルスは,微生物の貪食をすり抜け,土を掻き分けて,やっと細胞に取り付く。 こうして,つぎのどちらの局面でも,ウイルスは勢力をかなり削がれることになる: 免疫学のテクストによれば,免疫反応は白血球によるウイルスの貪食が端緒になる:
よって体は,微生物のウイルス貪食において現れる何かを,免疫発動のシグナルにしていることになる。 ──体とはこういうふうに進化するものである。 戦争は,始めることより収めることの方がはるかに難しい。 免疫反応もそうである。 免疫反応は,これに対する抑制が働かないと,暴走して「自己免疫」と謂う自傷行為に至る。 免疫学は体を自己充足の精密機械モデルで考えるので,免疫反応を収めるものを「特殊細胞の特殊シグナル」で説明することになる。 しかしこの説明は,つぎの疑問が返ってくる:
「免疫反応暴走の抑制」は,「常在微生物叢」で自然に説明される。 即ち,微生物の餌食になるものには,免疫細胞も含まれてくる。 免疫細胞の増加には,免疫細胞捕食の増加が応じる。 こうして,免疫細胞は暴走が抑えられる。 |