Up | 常在微生物による有機物分解 | 作成: 2022-03-11 更新: 2022-03-11 |
分解・食物連鎖は,体の大きい微生物による粉砕・粗分解から小さい微生物による分解へと順に進んで,最終的に二酸化炭素と溶存イオンになる。 溶存イオンの方は,常在微生物の栄養塩類になる。 常在微生物にどのようなものがあるかは,食物連鎖が成り立つためにはどのような種類の生物が必要かを考えれば,自ずと特定されてくる。 生食 (カビ食・細菌食) 者がいて腐食者がいる。 (註 : 生食者は腐食もするだろうから,実際には雑食者である。) 腐食者の食べ物は,腐生菌がつくる。 植物由来微粒子を分解する微生物は,セルロースないしリグニンを分解する酵素をもつ菌類 (カビ)・細菌であるから,常在微生物叢にはこの種の微生物も存在していることになる。 常在微生物は,小さい方からウイルス,細菌,菌類,原生生物となる。 動物は存在するだろうか? 実際,吸入される微粒子には粗大な粒子があり (例えば,土壌・植物由来の塵埃,花粉や胞子),これが分解処理されるためには,第一次的粉砕・粗分解の役を担う大きな微生物の存在が必要になりそうである。 しかし動物となると,最も小さいものでも,小型線虫の5μm (0.005mm)。 対して,肺胞の大きさは 0.1〜0.2mm。 線虫は肺胞に棲むには大き過ぎるか? 試みに計算:
0.35mm は,1mの 3.5 x10-4 倍。 よって,肺胞の表面積に対する線虫の長さ 0.005mm の比は,1m四方に対する
「肺胞の常在微生物のうちには線虫もいる」は,まあ考えられないこともないか。 生物叢は,生物と「土壌」である。 「土壌」とは,つぎのものである: 生物は,自分たちの死骸と排泄物に浸かって生きる。 生物は,自分の生きる場所を,自分たちの死骸と排泄物で築いた。 肺胞の常在微生物叢は,微生物と「土壌」である。 微生物は,肺胞の上皮の上に乗っかっているのではない。 上皮に土壌を被せ,その中で生きている。 そしてその生業が,有機物分解というわけである。 |