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戸田忠雄 (1939), pp.175-178
鼻咽腔には多数の微生物が存在する。
まず鼻前庭部には Staphylococcus epidermidis のほか、S.aureus がしばしば見いだされる。
この S. aureus は病院内感染における感染源として重要視される。
粘膜でおおわれた固有鼻腔には,Staphylococcus, Corynebacterium などが存在するが,鼻腔は多くの呼吸器系感染症の原因微生物の入口であるため,一時的にではあるが,各種病原微生物が定着する場所でもある。
そのようなものとしては Streptococcus pneumoniae,Haemophilus influenzae, Neiseria meningitides などがある。
これらの菌が定着しても,必ずしも宿主は発病するとはかぎらない。
このような比較的病原性の強い細菌の定着を常在細菌と考えるか,あるいは保菌者と考えるかは微妙なところである。
咽頭部には Streptocossus(α溶血性もしくは非溶血性,ときにβ溶血性)、Neisseria,Branhamella,Corynebacterium などが存在する。
気管,気管支,肺胞などの下部気道には菌は少ない。
気管や気管支においては上皮細胞の線毛の運動によって微生物は排出され,肺胞では肺胞マクロファージにより処理されるためである.
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- 参考図書
- 戸田忠雄 (1939) :『戸田新細菌学』, 南山堂, 1939
- 第34版 : 吉田眞一・柳雄介・吉開泰信[編]『戸田新細菌学』, 南山堂, 2013
- 参考 Webサイト
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