Up 「アイヌ」イデオロギー : 要旨 作成: 2016-05-07
更新: 2016-05-14


    「自然との共生」は,幻想である。
    「自然との共生」幻想を持つ者は,現前が「自然との共生」になっていないことの原因として,「自然を壊す悪者/愚者」を立てる。
    こうして,「自然との共生」幻想は,悪者狩り型イデオロギーと一体化する。

    「自然との共生」幻想と悪者狩り型イデオロギーの一体化には,悪者狩り型イデオロギーが「自然との共生」幻想を取り込むという形のものもある。
    この例となるものに,「アイヌ」イデオロギーがある。


    「アイヌ」イデオロギーは,和人悪者論である。
    和人悪者論は,アイヌ善い者論の反転として立つ。
    アイヌは,「アイヌ」をどのように立論することで,善い者になるか。
    ここで,「自然との共生」を用いる。
    すなわち,つぎの歴史ストーリーをつくる:
     《 「自然との共生」を実現していた純朴なアイヌが,
    金の欲で生きる卑劣なシャモに,搾取・差別される》

    この歴史ストーリーをつくる者は,「搾取」「差別」で物事を考える思考回路の持ち主である。
    実際,アイヌ善い者論は,「搾取・差別」のイデオロギーとして成立するのみである。

     註 : このイデオロギーは「左翼イデオロギー」と呼ばれるが,「左右」は科学の論考に堪え得ることばではないので,本論考では用いない。

    こうして,「アイヌ」の主題化は,イデオロギーの主導するところとなる。
    総じて,「アイヌ」イデオロギーとなるわけである。


    「アイヌ」イデオロギーは,政治である。
    本論考は,「アイヌ」の主題化を,科学として行う。
    「アイヌ」の主題化には,「「アイヌ」イデオロギー」の主題化も含まれる。
    「「アイヌ」イデオロギー」を主題化する科学の形は,《人とはこんな生き物──是非も無し》の科学としての生態学である。

    一般に,「イデオロギー」の主題化の要諦は,《人とはこんな生き物──是非も無し》を立場にすることである。
    「批判」は,批判対象を退ける構えであるが,これはダメな方法である。
    ここで採るべき方法は,「科学」である。
    「科学」は,対象を動かそうとはしない。
    高所から対象を俯瞰しこれを定位するのみである。

    実際,サヨクイデオロギーは,「個の多様性」の内容として,集団があれば一定割合数の個が身につけることになるものである。
    このことを捉える視座が,《人とはこんな生き物──是非も無し》である。
    この視座は,「科学」である。
    そして分野としては「生態学」になるわけである。