Up わたし : 要旨 作成: 2016-03-31
更新: 2016-03-31


    生態学における「ヒト」の主題化では,ヒトと他の生き物との違いを,やはり「本質的違い」の趣で考えることになる。
    即ち,ヒトと他の生き物の違いを「連続性」で考える一方で,「断絶」を考えてしまうということである。
    その「断絶」とは,「わたしの有無」である。

    「わたし」を持ってしまうと,生物としての行動が不自然になる。
    歩く行為が足の動作を意識すると不自然になるみたいに,不自然になるということである。
    ヒトの生態は,この「不自然」の概念をもたないと,捉え損なう。
    例えば,系の遷移として「巨大化生物は自滅が必定」を主題化し,特に「ヒトの種の自滅」を主題化する場合,ヒトの自滅は恐竜の自滅とは自ずと様相の違うものとして考えていくことになる。

    こうして,ヒトの生態学は,「わたし」の主題化から始まる。