Up 金融政策 : 通貨流通量の調整 作成: 2019-05-07
更新: 2019-05-07


    Teruo Matsubara から引用:

    通貨量が増えると、好景気になる:
銀行の通貨量が増える

銀行は、会社や家庭 (個人) にお金をどんどん貸す
企業は、その資金をもとに生産活動を活発にする
家庭 (個人) は、大きな買い物のチャンスと考えて、家を建てたり、車を買ったりするなど、人々は消費へと向かう。⇒ 社会全体で需要が増える。

好景気へと向かう
    ⇒ 不景気の時は、通貨量を増やせばよい
    (銀行などの金融機関をのぞいて) 会社や個人などが持っているお金の合計を、マネーストック (通貨供給量) という。
    不景気の時は、通貨量 (マネーストック) を増やす方法を考えればいい。
    逆に、景気の過熱 (好景気) を抑えるためには、どうすれば通貨量 (マネーストック) が減らせるかを考えればいい。

    では、具体的にどういう方法で通貨量を増やしたり、減らしたりするのだろうか?
    下表のような方法がある。
    好景気の時
    (インフレ、通貨量が多い状態)
    不景気の時
    (デフレ、通貨量が少ない状態)
    通貨量・需要を減らす政策をとる
    (金融引き締め政策)
    通貨量・需要を増やす政策をとる
    (金融緩和政策)
    政府の財政政策
    財政支出 財政支出を減らす
    (公共事業をおさえる)
    財政支出を増やす
    (公共事業を活発にする)
    税金政策 増税を行う 減税を行う
    日本銀行の金融政策
    公開市場操作 売りオペレーション 買いオペレーション
    預金準備率 預金準備率を上げる 預金準備率を下げる
    公定歩合 公定歩合を上げる 公定歩合を下げる


    A1. 財政支出
    政府が、道路・港・公共施設を作ること (=公共事業) などにお金 (税金) を使うこと。
    民間の通貨量を増やし、公共事業を増やせば、建設業界をはじめ多くの会社の仕事を作り、会社をもうけさせることができる。
    財政支出を増やすことは雇用を増やし、失業者を救い、会社の利益をあげることにつながる。

    A2. 税金政策
    増税を行えば
    民間から税金をさらに多く徴収することだから、民間の通貨量を減らすことができる。
    減税を行えば
    国民の手元に残るお金は増え、余裕ができるので、今まで買えなかったモノが買えるようになり、需要を増やす効果がある。 減税すると国の収入が減って苦しいが、やがて景気が回復すれば、会社の収入も増え、会社が納める法人税や、個人が納める所得税も増え、国の収入が増えることになる。

    B1. 公開市場操作 (オープン・マーケット・オペレーション)
    日本銀行が、市中銀行と国債などの有価証券を売買すること。
    買いオペレーションを行えば
    買うということはお金を支払うことだから、銀行にお金が供給=通貨量を増やすことになる。
    通貨が市中銀行で余り気味になると、企業などへの貸出が増え、金利も下がる。
    金利が下がれば、ますますお金が借りやすくなり、通貨量は増えて、好景気に向かう。
    売りオペレーションを行えば
    国債と引き換えに通貨を市中銀行から吸収でき、通貨量が減る。

    B2. 預金準備率 (支払準備率)
    日本銀行は、主要な金融機関から預金の一定割合を無利子で強制的に預かっている。 金融機関がつぶれそうな時に、このお金を使って救済しようという意味である。
    日本銀行に預ける割合を支払準備率という。
    支払準備率を引き上げると
    たくさん日本銀行に預けなくてはいけないので、民間の銀行の手持ちの資金量は減る。
    そのため、企業への貸出しは抑えられ、企業の生産活動は控えめとなる。
    支払準備率を引き下げると
    民間の銀行の手持ちの資金量は増え、資金に余裕が出て、貸し出し量が増え、通貨量は増える。

    B3. 公定歩合
     ※ 公定歩合操作は、現在は行っていない。
    公定歩合とは、銀行が日本銀行からお金を借りる時の利子率をいう。
    公定歩合を上げると
    民間の銀行は企業などに貸し出す時の利子率を高くしないと損をするので、銀行の利子率も上がる。
    利子率が高いほど返す金額が多くなるから、企業などは借りにくくなる。
    こうして通貨量が減るので、これは好景気の時に行っていた政策だった。
    公定歩合を下げると
    市中銀行の金利も下がる。
    企業は,金利負担が軽くなり、資金が借りやすい。
    借りた資金をもとに生産活動を活発にする。
    家計/個人は,金利負担が軽くなり、資金が借りやすい。
    大きな買い物のチャンスと考え、家を建てたり、車を買ったりする。(ローンの負担が軽いうちに買おうとする)
    金利が下がっているので、貯蓄よりも消費へと向かう。
    こうして景気がよくなる。