Up 2021年度予算案・一般会計 作成: 2020-12-22
更新: 2020-12-22


      読売新聞, 2020-12-22
    コロナ克服へ最大予算
    来年度案 106兆6097億円
     政府は21日、2021年度予算案を閣議決定した。
    一般会計の総額は20年度当初予算比3.8%増の106兆6097億円で、9年連続で最大となり、3年連続で100兆円を超えた。
    新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため政府が「15か月予算」として一体的に編成した初年度第3次補正予算案を含めた一般会計の歳出規模は122兆円を超え、空前の規模となる。
    経済が減速し税収が減る中、借金にあたる新規国債の発行額は約3割増と11年ぶりに増加し、財政運営は一層厳しさを増す。

    新規国債3割増
    ‥‥ 税収は57兆4480億円で、当初予算として11年ぶりに減った。
    新規国債の発行額は43兆5970億円と当初予算として11年ぶりに増加。 12年度以来9年ぶりの高い水準で、予算総額の約4割を借金に頼る構図だ。
     ‥‥


      同上
    2021年度予算案閣議決定 主な事業のポイント
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     中小企業 
    資金繰り対策 重点
     中小企業対策は、新型コロナウイルスの感染拡大による経営への打撃を踏まえた資金繰り対策のほか、コロナ収束後の社会を見据えた事業転換や事業承継を促す予算を盛り込んだ。 2021年度予算の中小企業対策費は前年度に比べ22億円多い1745億円だった。
     資金繰り対策費として、日本政策金融公庫などによる低利融資や、信用保証協会による保証を行うための費用には900億円弱が盛り込まれた。 すでに20年度第3次補正予算案でも関連費用約1兆9000億円を計上しており、手厚く対応していく構えだ。
     中小企業経営者の高齢化などを踏まえ、事業承継の関連費用として約110億円を計上した。 支援する窓口の整備や、承継後の設備投資を後押しする。
     大学などとの研究開発支援には、約110億円を盛り込んだ。 成果の期待できる分野を重点的に支援し、付加価値の高い事業への転換を促す狙いがある。
     IT企業などと連携して地方経済のデジタル化を進める費用には約12億円を計上した。 多様な人材の確保や、海外展開に向けた人材育成の費用として約11億円を計上した。
     雇用 

    「調整助成金」特例を延長
     新型コロナウイルスで打撃を受けた雇用を支えるため、20年度第3次補正予算案と合わせ2兆2000億円を計上した。 従業員に休業手当を支払った企業を支援する「雇用調整助成金」の特例措置の期限を延長するほか、コロナで業績が悪化した企業から他社への出向を進めた場合の「産業雇用安定助成金」(仮称)を新設した。
     企業がハローワークなどから紹介された対象者を原則3か月にわたって試行的に雇用した場合に助成する「トライアル雇用助成金」の対象に、コロナの影響で離職を余儀なくされた人たちを加え、再就職支援に取り組む。 21年度当初予算案に30億円を盛り込んだ。
     多様な人材の活躍も後押しする。 来年4月から企業に70歳までの雇用延長の努力義務が課される中、303億円を使って、高年齢労働者(60〜64歳) の処遇を改善した企業などを助成する。 バブル崩壊後の不況期に就職活動をしていた「就職氷河期世代」向けには、708億円を盛り込み、ハローワークの専門窓口を全国69か所から83か所に拡充して生活相談から職場への定着まで支える「伴走型」支援などに使う。
     外国人の就労支援の強化も図り、ハローワークの相談窓口に通訳を配置したり、多言語による情報発信を行ったりする費用として123億円を計上した。
     また、コロナ時代に合わせた「新しい働き方」を推進するため、テレワークの普及を推進するセミナーの開催など柔軟に働ける環境整備に31億円を使う。 フリーランスとして個人で働く人と発注者との契約トラブルについての相談体制も整える。