Up 赤字/造金財政の破綻の形 : 要旨 作成: 2022-05-20
更新: 2022-05-20


      読売新聞, 2022-05-11
    「国の借金」1241兆円 21年度末
     財務省は10日、国債や一時的な資金を調達するための借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」が、2021年度末時点で1241兆3074億円になったと発表した。 20年度末に比べて24兆8441億円増え、6年連続で過去最大を更新した。
     新型コロナウイルス対策や医療、介護など社会保障費の増加で国債発行額が増え、全体を押し上げた。 国民1人あたり約990万円の借金を背負っている計算になる。 政府短期証券や財投債などを除いた、税収で返済する必要がある国の長期債務残高は1017兆1000億円となった。18年連続で増加し、初めて1000兆円を超えた。

    ここで「財務省発表」と謂っているのは,財務省のつぎの Webページ:
    その中につぎの表がある:
     
    1.国債及び借入金現在高
    (単位:億円)
    区分 金額 前期末 (令和3年12月末) に対する増減 (△) 前年度末に対する増減 (△)
    内国債 11,046,800 160,717 305,204
    普通国債
    (うち復興債)
    9,914,111
    (54,303)
    232,990
    (△17,443)
    447,643
    (△13,542)
    長期国債(10年以上) 7,481,162 106,950 333,700
    中期国債(2年から5年) 1,741,983 47,087 150,003
    短期国債(1年以下) 690,966 78,953 △36,060
    財政投融資特別会計国債 1,046,242 △69,451 △140,208
    長期国債(10年以上) 684,380 △16,623 △6,931
    中期国債(2年から5年) 361,862 △15,875 △29,355
    短期国債(1年以下) - △36,953 △103,921
    交付国債 1,511 91 406
    出資・拠出国債 39,041 △711 1,323
    株式会社日本政策投資銀行危機対応業務国債 13,247 - -
    原子力損害賠償・廃炉等支援機構国債 32,649 △2,202 △3.960
    借入金 504,285 11,030 △15,762
    長期(1年超) 106,455 △2,845 △5,890
    短期(1年以下) 397,830 13,875 △9,873
    政府短期証券 861,989 56,998 △41,001
    合計 12,413,074 228,745 248,441


    マスコミが「国の借金」と謂っているのは,「国債及び借入金現在高」である。
    しかしこれは,「借金」ではない。
    国が借金を払う方法は,《金を造って払う》だからである。

    造った金の額は,「中央銀行保有の国債」として計上する。
    この方法で,国は金を<いつでも・いくらでも>造ることができる。
    よって,国に借金は存在しないのである。

      国の税収は60兆円くらい,一般会計だけで 100兆円超え。
      返済するということがあり得ない「1241兆円」を「借金」と称することは,そもそもが「借金」の語の誤用なのである。


    ちなみに,「国債等」(国債・財投債+国庫短期証券) の保有者の内訳は,2021年12月末で,つぎのようになっている:
日本銀行調査統計局「参考図表:2021円第4四反旗の資金循環 (速報)』より
保有者保有額 (兆円)保有率 (%)
中央銀行53043.4
預金取扱機関16313.4
保険・年金基金25120.6
公的年金453.7
家計131.0
海外17514.3
その他 43 3.5
1,220100.0
    日本の財政 (赤字/造金財政) は,《中央銀行の国債等保有高を無際限に増やす》でやっていくのである。


    しかし,こんな虫のいいやり方が本当に通用するのか?
    何かバチがあたるということは無いのか?

    財政が一国で閉じているものなら,このやり方はまあまあ通用する。
    通貨価値が下がり物価の上昇になるが,この調整は穏便なものになるからである。
    しかし,国の財政はグローバルである。

    造金財政は,「金利ゼロ」が金融政策になる。
    そうすると,アメリカが金利を挙げる政策をとれば,円安になる。


    円安になるとどうなるか?
    輸入物価の上昇に連動して,国内で物価が上昇する。

    円安は,何かのきっかけでスパイラルに進行するというものである。
    通貨取引を含む仕事をしている者は,円を持たされることが不利になるからである。
    そして,円安がスパイラルに進行するということは,国内物価上昇が止まらないということである。

    このタイプの物価上昇に対する政府の対応は,どんなものになるか?。
    政府の財政は赤字/造金財政であるから,金を造って個人・企業に給付する────困窮手当として個人に,協力手当として企業に,それぞれ給付する──というものになる。

    問題は,この<金のバラマキ>がさらなる円安の契機になるかどうかである。
    このあたりは,まだ不明である。
    観察すべし。