Up 「アフリカ支援4.1兆円」って? 作成: 2022-08-29
更新: 2022-08-29


    読売新聞, 2022-08-28


    返済能力に見合わない中国の融資で借金漬けに陥る「債務のわな」を念頭に置いたものだ」とは?

    海外投融資には,もともと「相手を借金漬けにして,自分に楯突けないようにする」がある。
    実際,途上国に対する「借款」は,最初から一部の「債権放棄」を見込んでいる。
    相手が返済できないことを見込んでいるわけだ。
    相手が返済できないことがわかっていても金を渡すのは,戦略的にちゃんと割が合うからである。

    相手が返済できないことを見込んでする「借款」は,「金をただであげる」と同じ。
    そしてどっちがイメージが好いかというと,「金をただであげる」の方。
    日本のこの度の「アフリカ支援4.1兆円」投融資は,これをやるというわけである。


    4.1兆円は,けっこうな額である。
    財政が税金で賄われていると思っている者なら,「財源は?」の疑問をもつところだろう。
    しかしこれは,「新型コロナ」でやった国民給付金やクーポンのばらまきと同じである。
    「4.1兆円」といっても,キー入力される数字に過ぎない。

    国民給付金やクーポンの形でばらまいた金は,消費にまわり,経済を回す。
    「アフリカ支援4.1兆円」投融資も同じこと。
    これは円をあげるのであり,円をもらった方は日本に対して消費することになる。
    こうして日本の経済が回る。

    経済は,回転していればよいというものである。
    <自己運動の自己目的化>──これが経済である。
    ひとが「目的」のことばに思うようなものは,経済にはない。
    経済はつくづく奇妙なものだが,ひとはこの奇妙なものに生かされている存在である。


    アフリカは最後のフロンティア!」だってさ。
    この意味は:
      「経済を回す方法であるところの<金を渡し物を渡す>は,海外にも適用される。
       しかしこの適用が可能になる相手は,いまはアフリカしか残っていない!」

    <金を渡し物を渡す>は,やがて(しま)いになる。
    なぜか。
    <金を渡し物を渡す>は,相手に経済力をつける。
    経済力をつけた相手は,今度は競争相手になり,さらには脅威になる。

      いまの中国の脅威も,先進国が<金を渡し物を渡す>をせっせとやって育て上げたものである。

    経済とは,つくづく奇妙なものである。