Up 社債・コマーシャル・ペーパー(CP) 作成: 2020-12-11
更新: 2020-12-11


  • 社債 (bond)
      https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12257.html
      社債とは、企業が資金を、負債として調達する選択肢の1つ。
      社債発行時の実勢金利が社債利子率を上回る場合、債券の価格は額面金額を下回る。逆の場合は、債券価格は額面金額を上回る。実勢金利が上昇する局面では、同じ会社が発行する債券価格も下落する現象が起きる。
      通常は、満期に額面金額を償還する前提で、満期までは定期的に社債利子(=クーポン)を支払う。 一般に、経営が不安定な会社の社債の利回りは高く、安定している会社は低い。経営の安定性は、格付け機関が評価する。


  • コマーシャル・ペーパー (commercial paper, CP)
    • https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11796.html
      コマーシャル・ペーパー(CP)とは、企業が短期で資金調達するための、無担保の約束手形のこと。
      企業が直接金融で資金調達するという点では、社債と性格は同じである。社債の償還期間は通常1年以上で、有価証券取引法上の有価証券として規定される。一方、CPの償還期間は通常1年未満で、30日以内のものが多い。また、有価証券ではなくいわゆる手形なので、社債が証券会社で扱われるのに対して、CPは銀行等でも扱われる。
      CPは通常、割引形式で発行される(割引形式とは100円の額面に対して金利分を引いた額で売り出し、額面で償還するということ)。CPの金利は企業の信用力を反映して決まる。
      一般にプライムレートより低いコストで資金調達できる、銀行からの融資以外での資金調達手段として短期で企業の必要に合わせて発行して資金調達できる、といったメリットがある。一方で、CPは無担保で企業の信用力のみで資金調達することから、優良企業でないと発行できない。
      逆に、CPを発行しているところは、市場が優良企業と認めているとも言える。日産は業績回復してきた2004年、7年ぶりにCPを米国で発行した。このことが、米国でCPを発行できるほどの優良企業に日産が回復したことを結果的に示した。
      CPは米国で生まれた。日本では、1987年11月から発行が始まっている。最近では短期で資金調達する手段としてCPの機動性は増している。2003年3月には電子CPの発行も始まっている。電子化することで、従来入金までにかかる日数は2営業日から1日に短縮された。これによって手許資金の不足など、不測の事態に対する企業の資金調達の対応力をさらに高められるようになった。また、2006年に施行された新会社法で、従来に比べ柔軟なCP発行が可能となった。これにより、より機動的なCP発行が可能となっている。
      米金融市場では、不正会計処理などの事件を背景に2002年頃から、従来の無担保のCPに対して資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)市場が拡大している。日本でもABCPは導入されているが、2004年以降、景気回復による株価上昇などでABCPのメリットが薄れて、日本でのABCP市場は伸び悩んでいる。


  • 直接金融 (direct financing)
    • https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12393.html
      直接金融とは、株式や、社債、コマーシャル・ペーパーを発行して、企業が市場から資金を直接調達する金融の形態。
      資金調達には直接金融と間接金融がある。 戦後の日本では、銀行からの間接金融と株式発行が資金調達の方法の中心だったが、近年の金融の自由化等の変化により、株式発行以外の直接金融も増えてきている(狭義には、このような負債としての調達のみを直接金融と呼ぶ)。
      しかしこれらの直接金融では企業の強い信用力が必要なため、利用するのは大企業が中心である。 社債などを発行した企業が倒産してデフォルトになると、貸し手は損失を被ることになる。
      そのため、業績悪化などの緊急時には、直接金融で資金調達しようとしても貸し手の投資家は資金を供給してくれない可能性がある。 企業は、こうした資金の調達の可能性(アベイラビリティ)を考慮したうえで、直接金融と間接金融の両方を使い分けている。