Up 「電子マネー」 作成: 2020-10-21
更新: 2020-11-11


    「デジタル通貨」と混同されやすいのが,<オンライン決済サービス>業者が運営するところの「電子マネー」である。

    各通貨に対し,これのオンライン決済サービスの概念が立つ。
    現在,通貨は中銀通貨と仮想通貨の2種類であるから,「中銀通貨のオンライン決済サービス」と「仮想通貨のオンライン決済サービス」の2つが立つ。
    「電子マネー」のことばをこの2つにあてれば,「中銀通貨の電子マネー」「仮想通貨の電子マネー」となる。
    ワンストップサービスを目指すオンライン決済サービス事業者なら,両方を扱うことになる。

    仮想通貨はデジタル通貨であるから,「仮想通貨の電子マネー」の言句は「デジタル通貨の電子マネー」の言句を導く。
    「デジタル通貨の電子マネー」の言句は,デジタル通貨と電子マネーが異なる概念であること (カテゴリーとして違うこと) を端的に示す。
    デジタル通貨と電子マネーを混同するミステイクタイプは,「カテゴリー・ミステイク」である。


    中銀通貨の場合,オンライン決済サービスが提供する<支払い>方式は,支払者の銀行預金口座からの振込を含む。
    これは,振込が発生するタイミングの違いから,つぎの3つが区別される:
    1. プリペイ:プリペイドカード (スマートフォンのプリペイドカードアプリ)
    2. リアルタイムペイ:銀行キャッシュカード (スマートフォンの銀行キャッシュカードアプリ)
    3. ポストペイ:クレジットカード (スマートフォンのクレジットカードアプリ)
    この中で「電子マネー」のことばを使うとすれば,それはプリペイドカードを財布に見立てるときの「マネー」である。
    電子マネーによる<支払い>の中身は,ICカード (スマートフォンの ICカードアプリデータ) に対するリーダ/ライタの読み書きである。


    これらは,仮想通貨ではどうなるか。
    中銀通貨のときの銀行預金口座に相当するものが,なければならない。
    それは,仮想通貨取引所/販売所ないしプロバイダ (オンラインウォレットサービス) に仮想通貨ユーザが開設した預金口座ということになる。
    仮想通貨の理念は「P2P」だが,預金口座サービス事業者 (「銀行」) が現れてもよいわけであり,実際現れてくることになる。
    デジタル通貨が使い勝手のよいものであるためには,「銀行」が要るというわけである。