Up 国をカモにする : 要旨 作成: 2020-11-24
更新: 2020-11-24


      読売新聞, 2020-11-19
    デジタル通貨 大規模実験
    3メガ銀,来年度 30社超が参加
     3メガパンクなどが参加するデジタル通貨の検討会が、2021年度に大規模な実証実験を始める。 NTTグループやJR東日本、セブン&アイ・ホールディングス、関西電力など30超の企業・団体が参加し、デジタル通貨の効果や実現に向けた課題を検証する。
     参加する企業は小売りや電力、保険など10以上のグループに分かれ、順次実験を始める。 グループごとに22年度以降の実用化を目指す。
     例えば、小売りのグループでは、輸送業者や仕入れ先にデジタル通貨を用いて代金を支払う実験を検討している。 通常、企業間の決済は月末などに行われ、商品の流れと時間差がある。 デジタル通貨を使うことで、商品の納入と同時に、瞬時に代金の決済が完了する仕組みを構築する。 販売店側は現金の管理や銀行振り込みなどの手間も省ける。
     実証実験で使用するデジタル通貨は、IT企業「ディーカレット」が、データを改ざんしにくくする技術「プロックチェーン」を用いて設計する。 発行、管理は銀行が行う。 実験のグループごとなどに複数のデジタル通貨を発行するが、基本的な枠組みは統一し、交換できるようにする。 検討会は、デジタル通貨の課題や解決方法を議論する目的で今年6月に発足した。
     海外では、官民でデジタル通貨の発行に向けた動きが加速しているが、今回の実験は参加企業数などが異例の規模となる。
     米フェイスブックは独自のデジタル通貨「リブラ」を発行する準備を進めている。 中国では10月、中央銀行のデジタル通貨「デジタル人民元」の大規模な実証実験が始まった。


    金持ちには,これをカモにしようとする者たちが寄ってくる。
    国も同じ。

    国のプロジェクトだから,さぞかし申し分の無いものなのだろう」と思ってはならない。
    たいていは,国がカモにされているだけである。

      わかりやすい例が,「iPS細胞移植再生医療」。
      マスコミは移植手術をその都度大々的に報道するが,それでどうなったという話には進まない。
      事実,「患者治療」レベルの成果は無いままである。
      とんでもない高額になる手術も,一般人には無縁のものである。


    通貨に対する「デジタル化」の主題は,
      「シームレスな決済システムの実現」
    である。
    なぜこれが「デジタル化」のはなしになるのかというと,「シームレス」は
      「決済プロセスのフル・デジタル化」
    によって実現されることになるからである。

    しかし,政治家は「デジタル」には暗い者ばかりである。
    ここに「通貨のデジタル化は,"デジタル通貨" ですぜ」と言い寄ってくる者が現れると,そんなものかと騙されてしまう。


    「決済のデジタル化」と「デジタル通貨」は,まったく別のことである。
    「デジタル通貨」の中身は,「取引 (transaction) 台帳の分散所有」である。
    そこで考えるべきは,なぜ「分散」なのか?である。

    「分散」は,「中央を設けない」である。
    「中央を設けない」を指向させる思いは,つぎの2通りである:
    1. 中央があるシステムは,中央が壊れるとシステム全体がダメになるから,危ない
    2. 中央集権は支配体制だから御免だ


    プロジェクト参加企業は,「いまは中央があるので危ない」で集まってくるのではない。
    中央集権は御免だ」で集まってくるのでもない。
    そもそも「それぞれの取引台帳を1つに合わせ,それをみんなで持つようにすべきだ」の思いは無い。

    プロジェクト参加企業は,「一応アンテナは張っておこう」で集まってくるのである。
    デジタル通貨って,どんなものになりそうか?」「使い途が何かありそうか?」のレベルである。
    われわれが抱えるこれこれの問題は,デジタル通貨がソルーションになる!」で集まってくるのではない。


    上の新聞記事にある「デジタル通貨の特徴──安全・即時払い・自動処理」にも,いちおう触れておく。
    「安全」と「自動処理」は,デジタル通貨の特徴になるものではない。
    そして「即時払い」は,企業にとってよいわけではない。
    実際,「後払い」は,即時払いの手間が理由というより,手持ち金不足の心配が理由である。

    結論は,最初からはっきりしている。
    円のデジタル通貨を使おうとする者は,いない。
    「デジタル円」は,ナンセンスである。