Up 「マイナ口座」: 要旨 作成: 2020-11-13
更新: 2020-11-13


    新型コロナで,政府は国民への10万円一律給付をやった。
    これは,すったもんだすることになる。
    給付に使おうとするインフラが,まったく酷いものだったからである。

    日本はもともと,よく考えられたインフラ──国と国民の間の金の行き来に使うインフラ──をもっていた。
    郵便局ネットワークである。

    郵便は,集配において距離が制約条件になる。
    よって,ひとの住むところには,郵便局が置かれた。

    郵便局ネットワークは,国と国民の間の送金にも使える。
    こうして,郵便局には自ずと銀行部門が置かれることになる。
    さらに,保険部門が置かれることになる。


    このネットワークは,小泉政権によって壊された。
    「無駄な公共事業」(利権公共事業) の温床であるとして,郵便局ネットワークを壊したのである。

    皮肉なことに,いまは「公共事業は,無駄な公共事業をやるもんだ」がわかっている。
    財政出動は金を造ってやるものであり,財源を考える必要が無いので無駄かどうかという話にはならないのである。
    財政出動は,これをありがたがる生活困窮者がいれば,中身は何でもよいのである。
    「国民への10万円一律給付」然り,「GoTo」然りである。
    古代エジプト王墓のピラミッドは財政出動の (無駄な)公共事業だという説があるが,まあそんなものだろう。


    新型コロナへの政府対策の中心にいたいまの菅首相は,まともな送金インフラが無いことで大いに痛い目にあった者である。
    こうして,政権に就いて早速取り掛かったのが,「郵便局ネットワーク」の再構築というわけである。
    「デジタル庁」は,「郵政省」のニューバージョンである。

    よくよく吟味すべし。
    「小泉郵政改革」をひとは「正義の戦争」として支持したが,それはアナザー「馬鹿な戦争」である。
    菅政権は,この「馬鹿な戦争」と新型コロナの「馬鹿な戦争」の尻拭いが仕事となる政権である。


    ITによって,いまは郵便も送金も,デジタルデータの通信になる。
    そこで,つぎがデジタル庁の施策の方針になる:
      《国と国民の間のデータ通信でノードになるものを,
       ことごとく国民のマイナンバーと紐付ける》

    特に,個人Aの銀行預金口座を,Aのマイナンバーと紐付ける。
    これは,国民に「マイナ口座」を持たせるということである。

    郵便局ネットワークが破壊されておらず且つデジタル化が進められていたら,郵便貯金口座をこれに当てるところである。
    いまはいろんな銀行がごちゃごちゃある。
    しかもそれら銀行はどんどん時代遅れの存在になっていく。
    時代遅れになるとは,業績も落ち込んでいくことである。
    こうして,「マイナ口座」の課題には,銀行再編が含まれてくる。


    郵便ネットワークの破壊の愚が見えてくるほどに,「昔の人は偉かった」を (馬鹿もいるは承知しても) 言いたくなる。
    カウントダウンの年齢でなければ,前島密研究でもしてみたいところである。