Up 「中銀国民口座」の理由 : 要旨 作成: 2020-10-17
更新: 2020-11-12


    ひとは,スマートフォンを財布として使うようになった。
    ICカードが内蔵されたスマートフォンをカードリーダ/ライタにかざすことで,支払いが成るというわけである。

    この決済──「電子決済」──には銀行口座振替のプロセスが含まれているが,ユーザはこれを意識しないで済む。

    時代は,入金・出金が銀行預金口座の入金・出金になり,そしてこれが電子化される方向に進んでいる。
    これは,クライアントと銀行の距離が,無くなるということである。
    地銀は,クライアントの近くに建っていることがこれの存在理由だったが,いまこの存在理由を失おうとしている。


    物理的距離が関係なくなると,ひとにとって銀行は「どれを択んでも同じ」というものになる。
    実際,銀行は,どれも同じになるように条件づけられている。

    こうして,銀行はいま,淘汰のステージに入っている。
    この淘汰は,銀行がただ1つになることを極みとする。


    中銀と民間銀行の関係が1対多から1対1になるとき,その民間銀行は,実質,中銀の一部門である。
    ひとの銀行口座は,「中銀口座」になる。

    このように,電子決済の進展は,その先に「中銀国民口座」をのぞむことになる。
    また,民間銀行の淘汰を待たずとも,「中銀国民口座」の兆しを現せば,これは民間銀行の淘汰を推進することになる。
    いずれにせよ,中銀通貨の使用は中銀国民口座間の振替 (これは台帳の数字をいじるだけのこと) で貫徹されるようになるというのが,時代の流れである。


    なお,使い勝手のよい P2P 通貨が実現されたときは,中銀通貨とこれが相並ぶことになる。
    中銀通貨と P2P 通貨は,それぞれ国内通貨,グローバル通貨として,別立てのものになるのである。
    国には,国民と外国人がいる。
    外国人は,中銀国民口座を持てず,そして海外との入出金を常用するから,P2P通貨が便利になる。
    また,外国人でなくとも,海外との入出金を常用する者は P2P 通貨を便利とするし,そして「表取引/生活は中銀口座,裏取引/生活は P2P通貨」の者 (アンダーグラウンド生活者) もいるわけである。