Up | 信用 | 作成: 2020-11-07 更新: 2020-12-26 |
ひとが銀行に預金することは,自分の金を他人に与えることである。 ひとはふつう,自分の金を他人に与えることはしない。 それは,自分の金を無くしてしまう行為だからである。 銀行の場合,ひとは<与える>を<預ける>だと認識している:
「預けている間,利子を受けられる」 「銀行を自分の金庫にしておけば,安全」 銀行は,金をひとに貸す。 (「ひとに貸す」は,「ひとの債務を買う」と言い換えられる。) 「金をひとに貸す」は,「ひとから集めた金 (預金) をひとに貸す」ではない。 銀行は,貸付において,金を造っていることになる。 「ひとから集めた金」の意味は,「原資」ではなく,「貸倒れに対する保険」である。 銀行の金造りは「信用創造」と呼ばれているが,この語は "money creation" の訳である。 いまの時代は,金はコンピュータのキーボードを叩いて造られる。 金は,キーストロークである。
金は,記号である。 電子決済が普通になっているいまの時代には,これは自明のことになる。 銀行は,預金総額に見合う額を貸し付けていることになる。 しかし「見合う」は,恣意的である。 ひとの銀行に対する信用も,銀行の自信も,幻想である。 「金」も,幻想である。 ひとは,<賭け>として,この幻想ゲームに入る。 |