Up 通貨原理 作成: 2020-12-20
更新: 2020-12-22


    経済は,決済が発生している現象である。
    経済は,決済がこれの要素である。

    決済は,人から人への金 money の移動である。
    但しこの意味は,以下の通り:


    通貨原理 1
    金 money は,銀行の台帳に記された預金の数値である。
    「通貨 currency」とは,台帳上の預金数値操作を「金の運行」と幻視したものである。

    銀行は,国の銀行と民間銀行である。
    国の銀行を,民間銀行と区別するために,中央銀行と呼ぶ。


    通貨原理 2
    人 (個人および法人──以下同じ) が所有する金は,銀行の預金 (銀行の台帳の数値) がすべてである。
    決済は,銀行口座間の振替がすべてである。

    通貨原理論は,(「紙幣・金属硬貨」がイメージになるところの)「現金」を措かない。

    技術の進化は,決済のデジタル化を現すことになった。
    そしてデジタル決済は,「現金」が通貨の本質論において占める位置が無いこと──通貨史の中の一過性 (その時の環境に応じる結果の形態) であること──を示すのである。


    通貨原理 3
    人は,中央銀行に口座をもつ。
    人xが民間銀行Aに金額nを預金するとは,中央銀行の台帳の上でxの口座からAの口座へ金額nを移すことである。
    人xが民間銀行Aから金額nを出金するとは,中央銀行の台帳の上でAの口座からxの口座へ金額nを移すことである。

    通貨原理論は, 「現金」を措かないかわりに中央銀行口座を措く。
    中央銀行口座が,「現金」の発展的解消の形である。
    「現金」のことばが欲しいときは,中央銀行の預金を「現金」と読むべし。


    通貨原理 4
    政府 (国) は,法人として中央銀行に口座をもつ。
    人と政府の間の決済は,中央銀行の両者の口座間振替で行う。

    通貨原理論は,中央銀行口座を措くことで,人と政府の間の決済──「納税」, 手当給付等──が直接決済になる。