政府は, 《財政はここずっと,<金造り>を方法にしてきている》を認識している。
一方, 《<金造り>が理に叶っているとして,これを方法にしているわけではない》と思いたい。
こうして, 《<金造り>を理にするのは,極端な論》を,政府のスタンスにしている。
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財務省「わが国財政の現状等について」(2019), p.60.
2019年4月4日 参・決算委員会 西田昌司議員(自民)の質疑に対する麻生財務大臣、黒田日銀総裁の答弁
(麻生財務大臣)
MMTという、いかがわしい名前はいかがなものか、というご意見だったので、近代もしくは現代貨幣理論、たぶん直訳すりゃそういう単語だと思いますが、Modern Monetary Theoryという話が出てこられましたんで、これは最近、アレクサンドリア・コルテスですかね、この辺りがよく話をしている話で、それでそれを叫んで、下院議員に当選したりするんで、ちょっと、名前としてはMMTという名前が出てきたのが最近かな、そんな記憶だと思いますが。
まあ、言っていることは、自国通貨を持っていて、自国で貨幣を発行しているのだから、今の西田先生の話で、通貨というのは限度なく発行ができるんだから、早い話がデフォルトなんか陥ることありませんよと、従って、政府債務の最高残高がいくらであっても関係ないと、簡単にいえばそういう話を言っておられるんだと思いますが、
・・・(中略)・・・
こういった考えがあるということを我々が知らないわけではありませんが、他方でそういったものに対して、例えばグリーンスパンとか、なんでしょうかね、ローレンス・サマーズとか色々おられますけれども、そういった方々が、こういった意見と全く違う意見だと思いますが、今、そういった意見であるというのは、私ども知らないわけではありませんけれども、
あの、こういった話は、常識的にはインフレが起きるということになるんだと思いますが、極めて否定的な見解がその人達から示されているんですが、
私どもは少なくとも、世界200か国近くの国相手に、グローバルな市場で、金融とかマーケットが見えておりますので、市場からの受け入れてもらえるようなものでやらないと、
極端な議論に陥るということになりますと、これは財政規律を緩めるということでこれは極めて危険なことになり得ると、
そういった実験にもっとも適しているからといって、この日本という国をその実験場にするという考え方は私どもは持っているわけではありません。
(黒田日銀総裁)
・・・(中略)・・・
その上でですね、いわゆるMMTの評価については、これは必ずしも体系化された理論ではなくて、その本質をつかむことがなかなか難しいのではないかと感じておりますが、
MMTの基本的な主張について、自国通貨建政府債務はデフォルトすることはないので、財政政策や財政赤字や債務残高などを考慮せずに、景気安定化に専念すべきであるというふうに理解いたしますと、
このように財政赤字や債務残高を考慮しないという考え方は極端な主張であり、なかなか受け入れられないのではないかというふうに考えております。
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「そういった実験にもっとも適しているからといって、この日本という国をその実験場にするという考え方は私どもは持っているわけではありません」
「実験にもっとも適している」とは,つぎのことを指す:
債務残高 (対GDP比) の国際比較
1位 |
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日本 |
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236% |
2位 |
ギリシャ |
184% |
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‥‥‥ |
6位 |
イタリア |
132% |
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‥‥‥ |
13位 |
米国 |
106% |
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‥‥‥ |
21位 |
フランス |
97% |
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‥‥‥ |
25位 |
カナダ |
91% |
26位 |
英国 |
88% |
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‥‥‥ |
54位 |
ドイツ |
68% |
(財務省「わが国財政の現状等について」, 2019)
つもりはどうであれ,まさしく実験場になっているわけである。
実験結果や如何?
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