Up 従来型マネー理論の2極──価値尺度 vs 恤民 作成: 2020-11-30
更新: 2020-11-30


    勉強は,<文献にあたる>が普通の方法になる。
    ところでこの<文献にあたる>だが,ガイドが無いとひどい無駄をやることになる。
    ガイドとは,座標軸のことである。
    最も簡単な座標は1次元であり,2極で張られる座標軸が1本。

    そこで,マネー理論に対しこの2極を求めれば,つぎの二つになる:
      「マネーは,価値尺度」
      「マネーは,施し」


    前者の例としてわかりやすいのは,Hayek のマネー民営化論。
    そして後者の例としてわかりやすいのが,「MMT (Modern Money Theory)」。


    「マネー=価値尺度」では,価格の安定を実現するマネーがよいマネーということになる。
    この立場では,「インフレ」が最大の悪になる。
    「インフレが退治されるなら,他のことには目をつぶってもよい」となる。

    Hayek のマネー民営化論は,つぎの論である:
     「 政府にマネー発行権を持たせると,必ずインフレ政策に行ってしまう。
    マネー発行を民営化すれば,よいマネーの実現が競われるので,インフレにならない。


    一方,「マネー=施し」とは,つぎをマネーの本領と定める立場である:
      《マネーの要るところに,マネーを造って与える》

    大地震の被災者に,給付金として,マネーを造って与える。
    道路が欲しい自治体に,工事費として,マネーを造って与える。
    この立場では,「困窮」が最大の悪になる。
    「困窮が退治されるなら,他のことには目をつぶってもよい」となる。

    ここで「マネーを造る」は,「無から造る」である。
    今日は「マネーを造る」がコンピュータのキーボードを叩く作業なので,「無から造る」が納得しやすくなっている。
    そしてこの「無から造る」に対し「これでいいのだ」を説くのが MMT というわけである。


    ちなみに日本の財政は,すっかり財政出動型になっているが,これはマネー理論を「マネー=施し」にしているわけである。
    ──政府は,造った金を「債務 (借りた金)」と言い習わしていて,MMT を否定しているが。