Up | 貨幣論の進化 : 要旨 | 作成: 2020-11-05 更新: 2020-11-05 |
原理論の下敷きが無くて,あれやこれやの論をやってしまうからである。 原理論とは,本質的でない要素をとことん消去したものである。 数学が,これの最もよい手本になる。 技術的制約が存在理由になっているものは,技術の進歩によって無用になるものであるから,本質的でない要素である。 よって貨幣論は,技術の進歩に伴い進化する。 IT の進歩は,電子決済をふつうのことにした。 これにより,以前の貨幣論で本質的な要素のように見えていた現金 (紙幣・金属硬貨) は,本質的でない要素ということになる。 電子決済は,さらに民間銀行を,本質的でない要素にする。 実際,民間銀行の業務内容は,みな同じである。 銀行が色々ある必要がない。 また,支店も要らないものになる。 支点が方々にあるのは,ひとが銀行を利用するためには銀行窓口まで行かねばならなかったからである。 電子決済は,人のこの物理的移動を無用にする。 民間銀行は1つでよくしかもバーチャルでよいとなると,この銀行はもう「民間」ではあり得ない。 この銀行口座は,実質「中銀国民口座」である。 「銀行の業務の融資はどうなるのか?──電子化できまい!」の反論は,「AIがやる」が返される。 中銀国民口座は,それ自体,個人情報のビッグデータである。 これを喰ったAIに対抗できる銀行員はいない。 ただし中銀国民口座は,外国人出稼ぎ労働者などには馴染まない。 彼らには,バーチャル通貨決済が都合のよいものになる。 銀行を介在させない海外送金が可能だからである。 よって,バーチャル通貨が,貨幣論の本質的要素になってくる。 こうして貨幣論の原理論は,「現金」と「民間銀行」が無くなり,中銀国民口座とバーチャル通貨の2つを柱とする理論になる。 |