Up 幻想論 (記号論) : 要旨 作成: 2020-12-09
更新: 2020-12-09


    現前の財政論は,価値実在論である。

    現前の財政論に出てくる例えば,「GDP」。
    「GDP」の定義は,その前に「付加価値」の定義がある。
    「付加価値」をいうときの「価値」は,額で示されることが約束である。
    額を示すものは,通貨である。

    では,通貨が無い系は,「付加価値」が定義されない系か?
    例えば,自給自足経済の系。
    あるいは,交易が物々交換の系。

    ここで,つぎのように定めるのが,価値実在論である:
      通貨の存在と無関係に,価値は存在する。
      通貨を以て示す額は,その価値の表現である。
    価値実在論は,価値相対論 (「価値は時と所で変わる」) をこれに含めることもできる。


    価値実在論に対するのは,価値幻想論である。
    「価値は時と所で変わる」は,「価値は幻想だから時と所で変わる」の解釈になる。

    価値実在論を立場にするのは,無理である。
    「売値は,売り手が決める」を知っているからである。
    しかし,価値実在論に乗れないと,現前の財政論に入って行けない。
    翻って,価値実在論に乗れない者は,価値幻想論が方法の財政論を探求するのみである