Up 波動理論 : 要旨 作成: 2020-11-09
更新: 2020-11-09


    人の経済行動は,ムクドリの群飛,サンマの群泳と同じである。
    個は,自分を周りに合わせる。
    みなが自分を周りに合わせようとする者であっても,これら個の集団はともかくも運動を現す。
    この集団運動は,どのようになるかについては決定論にならない。
    運動を決定する法則というものが存在しないからである。

    ただし,<自分を周りに合わせる>のダイナミクスが生成する集団運動は,まったくのランダムであるわけではない。
    それは<同期>を現してくる。
    即ち,この運動は「波」になる。
    景気に波があるのは,こういうことである。


    波になるものに対し,波は嫌だから真っ直ぐにしようとするとどうなるか。
    これは,集団を成立させている力学に対する破壊行為になり,集団は壊れ,個は路頭に迷う。

    経済学者が唱えてくる財政・金融政策は,この類である。
    彼らは,どうしてこんなふうなのか。
    法則が立たない集団運動に法則を立てようとする者だからである。
    法則が立たないものに法則を立てようとするのは,無駄・無効という以前に,おっちょこちょいである。
    しかしこのおっちょこちょいを地で行くのが,経済学者というわけである。


    要点
    <波が現れることがわかる>と<どんな波が現れるかがわかる>は,別のことである。
    そして,どんな波が現れるかは,わからないことである。
    ちなみに複雑系の科学は,この「わからない」を「創発性 emergence」のことばで主題化している。