Up 要 旨 作成: 2008-09-17
更新: 2008-09-17


    商品経済社会は,マネー・ゲームのギャンブラーに全体が付き合う/付き合わされる社会である。 商品経済の本質がギャンブルであるので,この社会では「奢れる者は久しからず」が繰り返される。──落ち着きのない社会。

    ただし,ギャンブラーは自分のことを「ギャンブラー」とは思っていない。 自分は「歴史のターニングポイント (劇的な瞬間) に立ち会っている者」であると思っている。 そして,自分は「努力して地位を築き,築いた地位を保つ者」になると思っている。

    これが商品経済社会の精神性・文化になる。
    この文化では,ベンチャー起業,ファンドマネージ,商品デザインで成功した者に,インテリジェンスやステータスの高みが見られるようになる。

    何も遮るものがなければ,社会はこの文化一色になる。
    そしてこの事態が,反照的に,教育の意味・役割を顕す。 (ここで「教育」とは,「自由主義社会の教育」のこと。)

    すなわち,教育の意味・役割とは,つぎのものである:
    「商品経済の文化一色」を批判的に主題化しつつ,
    そもそも世界とは‥‥,生きるとは‥‥,価値とは‥‥」の考え方を指導する。
    それは,「このろくでもない,すばらしき世界」を教えることである。