労働省の調査によれば,平成10年における完全週休2日制は労働者割合で59.2%(平成2年39.2%),隔週など何らかの形で週休2日制を導入している比率は95.6%となっており,週休2日制の進展が見られます( 表1-1-2)。労働者1人当たりの総実労働時間,所定内労働時間(ともに事業所規模30人以上,調査産業計)は,いずれも昭和63年以降減少傾向となっており,11年にはそれぞれ1,842時間,1,709時間となっています( 図1-1-7)。こうした自由時間の増大や高齢化など,我が国社会の成熟に伴い,心の豊かさや生きがいを求める傾向は,生涯学習に対する需要の拡大という形をとって現れます。また,情報化,国際化,産業構造の変化などに伴い,社会人は絶えず新しい知識や技術の習得を迫られ,これも生涯学習に対する需要となっています。
生涯学習は,学校教育や社会教育の中で,意図的・組織的な学習活動として行われるだけでなく,個人的なスポーツ活動,文化活動,趣味,レクリエーション活動,ボランティア活動などの形でも行われています。また,活動の場も,学校のみならず,公民館,図書館,博物館,文化施設,スポーツ施設,カルチャーセンター,企業・事務所など多岐にわたっています。この意味で,国民の文化活動は生涯学習の一翼を担っています。
総理府「生涯学習に関する世論調査」(平成11年)によれば,この1年間の生涯学習の実施状況の中で,「趣味的なもの(音楽,美術,華道,舞踊,書道など)」は22.0%を占め( 図1-1-8),今後これらの「趣味的なもの」をしてみたいという回答は56.7%に上っています( 図1-1-9)。
また,生涯学習の成果として,「自分の人生がより豊かになっている」という回答は,52.4%となっています( 図1-1-10)。
人々が,「生涯のいつでも,自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適切に評価される」ような生涯学習社会の構築を求める声は,多くの国民が文化活動に参加し心豊かな社会の実現を目指す点において,また,文化財に親しみ伝統文化への理解を深めていく機会の拡充を目指す点において,文化の振興を求める声でもあります。