いまは,責任体制の厳格化がいいこと (正義) のように言われる時代である。
──これは流行りである。やがて,厭きられる。
「厳格な責任体制」を時代のムードにするムードメーカーもいる。「危機管理・内部統制」ビジネスはその一つ。
特に,絶えず新市場を開拓し顧客の目先を変えることを宿命づけられているITビジネスは,目下「危機管理・内部統制」をここしばらくの主要マーケットと定めている。
結論から言うと,責任体制は厳格にしてはならない。──理由は:
- 厳格な責任体制は,無意味な内部統制と責任回避・無責任に進む。
例えば,「わたしは責任を果たしている」のアリバイづくりに腐心する。
通達を連発し,「わたしがあんなに指示・注意喚起していたのに‥‥」の形をつくろうとする。
そしてこれの多くが,無意味・無責任なものになる。なぜなら,現場には「指示に従う・注意する」という単純な行動は存在しないからだ。
- だれでも失敗する。何に関しても失敗する。
- 厳格な責任体制は,健全な良識/常識を駆逐する。
複雑系に対応する形が,良識/常識である。
一方,厳格な責任体制は,複雑系を無理矢理に単純系にする (「杓子定規」)。
- 責任体制は「無意味なこと・成算のないことを続ける責任体制」にもなる。
──この場合,無意味なこと・成算のないことをやめようとするのは,「無責任・責任放棄」になる。
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