Up 「独り善がりを斥ける」 作成: 2007-02-20
更新: 2007-02-20


    論述を「作品」としてつくるときの自分に対する戒めは,「独り善がりを斥ける」に尽きる。

      論述指導の内容にはつぎのものが含まれてくるが,これらは「独り善がりを斥ける」ための方策に過ぎないと考えても差し支えない:
      • 「論述作成の目的・スタンスを,自分自身に明確にする」
      • 「論述の主題・内容を理解する」
      • 「ストーリー(論の展開,推論) の論理を意識する」
      • 「作品を客体化する」
      • 「作品の受け手の生理を意識し理解する」
      • 「Simple is the best.」

    自分の「独り善がり」は,ほんとうに見えない。
    「<達人>の域に達するとは,これが見えるようになることだ」と言ってもよいだろう。

    「独り善がりを斥ける」とは,「他者」を立てることであり,自分の作品を「他者」の側から見ることだ。

    初心者は,自分の意識の中に「他者」を対象化することができない。 (「他者」の対象化は,高度な知的能力に属する。これは,学習によって得られる。)
    「他者」のない「作品」は,自分自身との対話,すなわち独り言 (モノローグ) である。 実際,「独り善がり」「独り言」が,初心者の論述作品の特徴を言い表すことばになる。

    「独り善がりを斥ける」こと──「他者」を立てること,自分の作品を「他者」の側から見ること──は,学習によって得られる能力である。 「独り善がりを斥けなさい」と言われて「独り善がり」をしなくなるわけではない。

    「独り善がりを斥ける」をできるようにする構成周到な指導が必要になる。