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ツールの指導
作成: 1999-03-25
更新: 1999-03-26
ひとは,意味を欠いた学習はできません。
文法を学習するという形で,外国語を学習することはできません。
文法を学習するという形で,プログラム言語を学習することはできません。
操作マニュアルを読むという形で,コンピュータを学習することはできません。
操作マニュアルを読むという形で,アプリケーション・ソフトウェアを学習することはできません。
学習は,ツール(道具)の学習です。
ツール(道具)の学習とは,つぎのことの学習です:
それを使って何ができるか
使い方と結果の関係
上手/下手な使い方
正しい/間違った使い方
ツールは,ある用途を考えてつくられています。
その用途は,ツールそのものを見てもわかりません。
したがって,そのツールの意味を学習者に知らせてやる必要があります。
学習者の側も,意味を承知してはじめて学習に入ることができます。
「いまは意味がわからなくとも,そのうちわかるようになる」というような授業は,絶対してはなりません。
ツールの指導は,授業者のつぎのような働きかけによって,進行します:
ゴールの提示
「このツールを使うと,実はこのようなことができます。」
試行への促し
「自分でやってみましょう。」
指導
「こうするよりは,こうした方がいいでしょう。」
「この場合は,ツールのこの機能が使えます。実際,ツールのこの機能は,こういうことをするために用意されています。」
評価と改良
「できたものに対し,さらに改良の余地がないか考えてみましょう。」
「ほかの人の作品と比較してみましょう。」
「ツールのこの使い方はすごく上手です。」
「ツールのこの使い方は,ツールの可能性の新しい発見です。」
より高次なゴールの提示
「ツールのこれこれの機能を組み合わせることで,こんなこともできます。」
(「2. 試行への促し」へ)
教科教育も,もっとも広い意味においては,ツールの指導です。
メディアリテラシー育成の教育は,方法や考え方において,通常の教科教育と変わるところはありません。
指導案の作成で考えることは:
ツールのどの機能を主題にするか
ツールのその機能を使って何をさせるか
どのような作品をゴールに設定すると,教授/学習がうまく進むか
どのような個別指導が予想されるか
どのようなリアクションを用意するか