Up 「他は知らず」型の仕事分担をしてしまう 作成: 2008-11-09
更新: 2008-11-09


    仕事の「効率化」は,「無駄の排除」,「重複の排除」と進む。
    「重複の排除」は,「個々が別々の仕事を受け持つ」になる。
    そして「個々が別々の仕事を受け持つ」は,「他は知らず」型の仕事分担になる。

    「効率」を求める組織は,個人を個別の運動をする歯車にして,この歯車の組み合わせとして仕事を組み立てる。
    このような仕事体制では,一人が欠ける事態 (これは必ず起こる) になると,仕事全体が成り立たなくなる。
    また,情報の共有がない構成であるので,状況が変化していまの歯車の組み合わせが機能しなくなる事態 (これは必ず起こる) になると,再編ができない。
    物事にはつねに「ユニゾン」や「共有」というものが必要なのだが,どうしてもかりそめの「効率」の方が求められ,「ユニゾン」「共有」は捨てられる。


    一般に,ひとは,「いま」が続かなくなる事態 (これは必ず起こる) に備えることができない。
    そのような事態に備えることを考え出したら,大変だからだ。
    そのような事態が起こる前に自分が何とか逃げ切れることの方に,賭ける。

    他の者の眼には,これはつぎのように映る:
      「いま」を,「かりそめ」としては扱わず,「永遠」として扱っている。
      「いま」のようでなくなることの確率を,ひどく小さく見積もっている。


    そして,ここで述べたことが,情報システム管理の現実である。
    管理者がただひとり (組織はその管理者がずっと健常であることに賭ける) の状態も,むしろ普通の部類に入る。