Up 集中で困ること 作成: 2008-12-05
更新: 2008-12-05


    集中は分散の問題の解決にはならない」は,それほど理解の難しいことではない。
    これに対し,<集中で困ること>については,なかなか理解が得られない。

    集中を考える者は,クライアントをシン(thin)・クライアントにイメージしている。 ──端的に,メール・ユーザである。
    ヘビー・ユーザを考えるとどうなるか?
    中央集中管理になったら,地方のヘビー・ユーザは,プライベート・ネットワークを構築しなければならなくなる。

    「<集中で困ること>についてはなかなか理解が得られない」と最初に言ったが,実際,「中央集中管理になったら,地方のヘビー・ユーザは,プライベート・ネットワークを構築しなければならなくなる」は,内容が専門的になるので,「なかなか理解が得られない」だろう。

    地方分権の意味は,自分のことを自分の裁量でできるということである。
    中央集権体制では,地方はいちいち中央に伺いを立てねばならない。
    中央にしても,仕事量や煩瑣の理由から,地方のリクエストに柔軟に対応するということはできるものではない。
    中央は官僚組織化し,地方は中央とのやりとりで消耗する。

    実際,固定IPの集中管理が実施されることになったら,地方でのネットワークの柔軟な運用はできないものになる。 そこで,地方のヘビー・ユーザはプライベート・ネットワークを構築しなければならなくなる。
    分権のトリーを集中のスターにしたのに,またトリーが発生する。
    トリーがネットワークの生きている形であるからだ。

    虫を駆除しても,また虫は出てくる。
    雑草を抜いても,また雑草は生えてくる。
    これから学ぶことは,虫や雑草が自然なあり方であるということ。

    ネットワーク管理は,ネットワークの<生きている形>を見なくなるとき,あるいは<生きている形>をはじめから知らないとき,圧政になる。
    確信犯で集中に向かうことと無邪気で集中に向かうことの間に,差はない。
    向かうところは,圧政である。