Up アウトソーシングに嵌れば,つぎはクラウドに嵌る 作成: 2008-11-13
更新: 2008-11-13


    SF に出てくる「マザー・コンピュータ」が,いま現実になろうとしている。
    「クラウド (cloud)・コンピューティング」がそれである。

    NHK の 2008-10-15 放送の「クローズアップ現代」で,クラウドが取り上げられた (「新情報革命 "クラウド" の衝撃」)。 クラウドを使っている企業の取材を中心に構成していて,興味深い内容に仕上がっている。

    • キヤノンマーケティング (大手メーカー)
      • コストが,6分の1になる。
      • 各部署がクラウド共有の形でつながる。

    • ツルガ (社員10名の商社)
      • クラウドが示してくる顧客対応の優先順位を使って,効率的に営業。
      • 勘に頼る営業スタイルが,改められる。

    キャノンマーケティングは,コストと引き換えに,自分のカラダをクラウドに合わせる。
    ツルガは,効率と引き換えに,<勘>を捨てる。
    ここに見るのは,価値 (ほんとうに大事なもの) の倒錯である。


    アウトソーシングで,効率・便利・コストを選んだ組織は,この調子で,つぎにクラウドに向かう。 すなわち,管理を他人に委ねた情報システムで,業務コンピュータをクラウドの端末に替える。 ──「ハードとソフトの両方を他人の手に委せる」図の完成。

    これがどのような問題なのかを,きちんと理解しなければならない。
    これは「自立の放棄」という問題であり,例えばつぎの問題と同型である:

      工業製品輸出と食料輸入をバーターして,
      食糧の自給できない国になる。