Up システム=歴史──これの事務引き継ぎは不可能 作成: 2008-10-21
更新: 2008-10-21


    ネットワーク管理室に置かれているサーバマシンは,販売店に置かれている同製品と同じではない。
    国立大学がインターネットにつながってから15年ほど経つが,この15年の歴史が,ネットワーク管理室に置かれているサーバマシンの中に入っている。

    そのサーバマシンは,15年前に導入されたマシンではない。 しかし,マシンの交換のときは,前機の内容が新機に移される。
    15年前に導入されたマシンから,ソフトおよびハードのノウハウの蓄積が開始され,いまのサーバマシンに至っている。
    「人は死ぬが,文化は伝承される」と同型である。

    いまは「サーバ」のことを言ったが,これはシステム全般に言えることである。

    システムは,<歴史>である。
      一人の新規ユーザの登録に,10分かかった。
      ケーブルをつくって配線するのに,2時間かかった。
      ソフトウェアのアップデートに成功するのに,5時間かかった。
      システムのチューニングに,1日かかった。
      サーバのしくみの変更に,4週間かかった。
      あるトラブルの解決に,3か月かかった。
    このようなことが,現行システムの要素になっている。
    これらの作業の<歴史>そのものが,システムである

    実際,管理者の交替で新管理者に引き継ぐことになるのは,<結果>としてのシステムではなく,<歴史>としてのシステムである。
    ── <歴史>を引き継ぐとは,経験を引き継ぐということ。

    経験を引き継ぐために,複数管理者体制による後継者養成が必要になる。

    複数管理者体制による後継者養成ができていないとき,管理者の交替は<結果>の放り投げになる。
    <結果>は,新管理者には意味不明である。
    このとき新管理者は,システムのつくり直しに取り掛かるしかない。
    ( 新管理者の要件:システムの再構築に取り掛かれる)