Up 「オンサイト - オフサイト」の意味 作成: 1996-09-11
更新: 1996-09-11


    今日の情報通信テクノロジーの進歩によって,教授/学習形態に対する「オンサイト対オフサイト」という区分が使われるようになってきました。

    一方,情報通信テクノロジーの進歩は,いろいろな「バーチャル・リアリティ(実質的なリアリティ)」を生み出されています。その中には,バーチャル教師,バーチャル・スクールがあり得ます。しかし,「実質的にリアリティ」のことばが意味するように,バーチャルな教師,学校とリアルな教師,学校の区別は,実は立てることはできません。

    特に,「オンサイト対オフサイト」の区別は,実質的には立たない,ということになります。

    実際,つぎのような場面を考えてみましょう:
      バーチャル教師が授業するWWWサイトがあって,これにアクセスして授業を受ける。
    さて,この教授/学習は「オンサイト」でしょうか「オフサイト」でしょうか。

    「ある教師がこのWWWサイトをつくって遠隔の学生に授業している」というように考えれば,これは「オフサイト」です。一方,コンピュータの中の教師を生身の教師と区別する理由は立たないと考えれば,「オンサイト」と言ってもよい気がします。

    実は,「オンサイト - オフサイト」の別が持ち出されるのは,
    1. まず「教師」の存在があり,そして
    2. 「教師と生徒が同一の場にいる授業 - 教師と生徒が同一の場にいないで成り立っている授業」の区別がなんらかの意味で重要と考えられている
    場合です。つまり,つぎのように使うわけです:
      「教師であるわたし/あなた/彼(女) が,オンサイト/オフサイトで授業を行う」

    教師である 「オンサイト - オフサイト」は,実践的な区分であって,論理的な区分ではありません。 教授/学習形態を言い表すことばではなくて,授業の当事者の「つもり」(─学習者に直に立ち会っているのか,遠隔でか,を言い表すことば。 教授/学習メディアの活用は,この両方に対して課題になります。