Up 政治手法としての「有識者会議」 作成: 2006-10-07
更新: 2006-10-07


    政府や官庁が「自分のやりたい形を損なわず,そしてさっさと決めたい」ときには,「有識者会議」に勝る方法はない。

    政治手法としての「有識者会議」は,
      議論の形作り(アリバイづくり)として「有識者会議」を利用する
    というものであり,その内容はつぎのようになる:

    1. 政府/官庁が自分に都合の良い人選を行う。
    2. 会議は,官庁作成の文書の配布を受けることから始まり,その文書にお墨付きを与えて終了する。


    こういったものなので,政府がつくる「有識者会議」と官庁がつくる「有識者会議」が並立して,おかしな具合になることもあり得る。

      現時点の話題で言えば,政府が目下つくろうとしている教育再生委員会が文科省傘下の各種審議会 (特に,中央教育審議会) とどのような関係になるのか,微妙である。


    また,「有識者会議」方式はつぎの点においても有害である:

    • ディレッタンティズム (素人の勝手言い放題) を免れない。


    「有識者会議」方式は,政府/官庁が自分の望む形をそのまま通せるので,危険な手法として警戒されるものになる。 これを使う側も,自分の思う形がそのまま通ってしまうことの危険性を意識しないではおれない。


    「有識者会議」方式に対する警戒感・自制は,その強弱に時代の波や場の力学がある。
    この力学を,簡単に押さえておこう:

    1. 自分のやりたい形を損なわず,そしてさっさと決めたい」が優勢になる。
      自分のやりたい形を損なわず,そしてさっさと決める」方式として,「有識者会議」が利用される。
      これがしばらく続く。
    2. この間,「このやり方はかなり危ないぞ」の認識が,しだいに強くなる。
    3. 政策実行が一応落ち着き,政治手法に目が向くようになる。
      「有識者会議」方式を抑制し,代議員制/デモクラシーに戻ろうという動きになる。
    4. 再び「自分のやりたい形を損なわず,そしてさっさと決めたい」が起こり,そして優勢になる。
      (以下,繰り返し)