Up 北教組通達「いじめ調査に協力するな」の含意 作成: 2007-01-26
更新: 2007-01-26


    2007年1月24日の読売新聞で,北海道教職員組合 (北教組) が「いじめ調査に協力するな」を支部 (道内全21支部) に通達していたことが報道された。

    「いじめ」の問題がここしばらく大きく取り上げられているきっかけは,昨年6月のつぎの事件:
    1. 滝川市の小6女児がいじめを苦に自殺。
    2. 滝川市教委が女児の遺族から遺書を入手。
      同日、空知教育局 (岩見沢市) に遺書のコピーを提出
    3. 2日後,道教委の学校安全・健康課に,遺書のコピーが届けられる。
    4. 遺書は同課の課長には報告されず,滝川市教委への指導もなかった。
      (道教委報告では,「遺書のコピーを紛失」)

    そしていま,北教組通達がこれに加わって,北海道発「いじめ」問題は,教育委員会と教員の両方から「操作」される格好になった。 ──北海道発「いじめ」問題は,「いじめ」の問題が隠蔽されてしまう要因として,つぎのものを示した:
    • 教育委員会の事なかれ主義
    • 教員の側の「評定忌避・情報開示忌避」体質


    噴飯物に対し「けしからん」と言うだけでは,事態は改善しない。
    大事なことは,「けしからんことが現前しており,そして今後もこれがあまり変わりそうもない」という事実に対し,どうしてこうなるのかを明らかにして,これを<現実>として対策していくことだ。

    道教委と北教組の両者に共通していることは,「正道」「プライオリティ」感覚の欠損。
    この欠損は組織風土であるので,「個人の意識の切り換え」みたいには簡単にスイッチされない。

    北教組の場合は,この組織のイデオロギー的歴史的経緯から,「勤務評定忌避・情報開示忌避」至上主義の体質になっている。 「いじめ」調査依頼をつっぱねたのは,この「勤務評定忌避・情報開示忌避」の体質。 ──これは,いまの時代にあっては,「病的」という面がつよく現れる体質である。

     註1 : 「いじめ」問題の調査/追及は,論理必然として,教員の勤務評定と情報開示の求めに進む。
     註2 : 北海道の場合は,「4・6協定」に象徴されるような, 教委/学校管理職と北教組の間の微妙な関係が地域性としてあり,これがまたいろいろと問題を難しくする要素になる。 (「4・6協定」とは,1969年に道教委と北教組間で結ばれた取り決めで,2000年になってそのうちの「勤務条件にかかわるものはすべて交渉事項とする」「長期休業中の帰省の場合は,自宅研修扱いとする」の違法性が問題として顕在化した。)
     註3 : 勤務評定の忌避/拒否は意味がない。しっかり本務についている限り,だれからも文句を言われるものではない。
    また,「情報開示」は,言われなくても率先して行うべきもの。