Up ノンカテゴリカルは「創造的」に見える 作成: 2007-04-03
更新: 2007-04-03


    子どもはみな創造的,大人になるにしたがい創造性を失う」という言い方がよくされる。 しかし,「創造」のことばをこのように使うのは間違い。 このときの「創造的」の意味は「ノンカテゴリカル」(「大人のカテゴリーを持っていない」)である。

    ノンカテゴリカルは,カテゴリカルな目には斬新・革新的に見える。 そこで「創造的」のことばも出てくるというわけだ。

    この斬新・革新的の印象は,異文化のものごとに出会うときにも同様に持たれる。 異文化は,自分のカテゴリーに対してノンカテゴリカルであるからだ。
    その文化の中に棲む者にとってはきわめて様式的な作品も,よその目には斬新・革新的に映る。 そして「なんて創造的な文化だろう!」という受け取りになる。

      例えば,博物館ではアフリカの土俗芸術のコーナーはひときわ異彩を放っている。 儀式に使う面なんかになると,ただただ圧倒されるのみ。 しかしここでも,要点は「カテゴリーの乖離の大きさ」であって,「創造性」ではない。