Up 「経験」の意義:現前を相対化する能力 作成: 2008-09-13
更新: 2008-09-13


    幼い者は,小さいものが大きく見える。
    ものとの出会いは,いつも一大事。

    大人になると,大きいものも小さく見える。
    ものとの出会いも,いつものことになる。

    小さいものが大きく見えるのは,自分が小さいからである。
    ものとの出会いがいつも一大事になるのは,それが特別なもの,したがって絶対のものになるからである。

    自分が大きくなると,大きいものが小さく見える。
    ものとの出会いが,それを既に経験済みだったり,似たものを経験済みだったりするので,いつものことになる。


    例えば,幼い者が「改革」に関わると,これを歴史的一大事と見る。
    「未来はこれの成否にかかっている」と考える。

    「改革」を何度も経験してきた者が「改革」に出会うと,
      ああまたか!
      何も知らない者がこれにのめり込んで,
       世の中をまたおかしくしていくんだろう。
    のリアクションになる。

    これは,良し悪しの問題ではなく,「そういうものだ」ということ。

      偶然は,「幼い者の行った改革が,社会/国/世界を救った」にするかも知れない。 しかし,それは「ベンチャー」(ハイ・リスク・テイク) の成功確率と同じである。 ──社会/国/世界は,ハイ・リスク・テイクの実験場ではない。