Up 居直りとしての思考停止 作成: 2007-12-11
更新: 2007-12-11


    思考停止で事業が起ち上げられることがある。 この場合,最も始末の悪い思考停止が,居直りとしての思考停止。 すなわち,「やってみなければわからない・走りながら考える」である。

    やってみなければわからない・走りながら考える」が,思惑先行と合わさる。 このとき,事業はまったくのギャンブルになる。
    ギャンブルは勝ち負け五分五分ではない。負けの確率が高い。

    組織はこのギャンブルに付き合わされることになるのだが,組織はギャンブルに対する危機感をもたない。 それ以前に,ギャンブルという意識をもたない。


    公営事業にしくじって借金まみれになる地方自治体は,失敗して当然の事業をやって失敗している。 なぜこんなことになるかというと,"If we build it, they will come." と「やってみなければわからない・走りながら考える」の思惑先行・思考停止で事業を起ち上げるからだ。

    走りながら考える」は,ベンチャーを褒める時代のものである。
    ベンチャーを褒める時代には,ベンチャーをしない者は「甲斐性無しで意気地無し」ということにされる。 この風潮に流されて,地方自治体もベンチャーをする。

    ベンチャーの意味は「冒険」である。 ハイリターンかどうかはともかく,ハイリスク。 要するに,ギャンブルである。

    税金でギャンブルするといえばみな怒るが,ベンチャーするといえばみな喜ぶ。
    これはどういうこと?
    思考停止の集団心理である。

      「朝四暮三」(『荘子』斉物論)
        與若芋,朝三而暮四,足乎。衆狙皆起而怒。
        與若芋、朝四而暮三、足乎。衆狙皆伏而喜。
        芋の与え方を猿に伝える。
        朝3本暮4本でいいか?と言うと,皆怒った。
        朝4本暮3本でいいか?と言うと,皆喜んだ。