Up 授業の完全台本をつくる 作成: 2007-06-19
更新: 2007-06-19


    授業設計するとは,授業メモをつくることではない。

    授業設計の初心者である学生に模擬授業を課すと,たいてい,授業メモづくりで授業設計したつもりになり,その授業メモで授業を行い,1時間の授業 (=40ないし45分の授業) を数分で終えてしまう。

    彼らは漠然とつぎのように思っている:
      自分は,授業の場に立てば,自ずとメモの間隙を埋めるような授業をする。
    その場に立てば適切なことを言い適切な行動をするだろう,というわけだ。

    予め考えておらず,つくっていないものが,その場になって出てくる?
    出てこない。
    現に,授業メモ分を数分やってブレークダウンとなる。


    経験を積めば,授業に臨むのに授業メモで足りるようになる。「今日はこのことをしよう」で済むようになる。 しかしそれは,これまでの経験により授業設計がカラダに入っているからだ。
    学生は,まだ空っぽ。中身をつくっていかねばならない立場にある。

    授業設計では,舞台ものや映画をつくるみたいに,ほんとうに<ぜんぶ>をつくる。
    <ぜんぶ>をつくるとは,授業の完全台本をつくること。

    学生の場合は,授業の完全台本をつくらないことには,授業にならない。
    そして,完全台本作成の作業をすることで,授業設計を学習できる。
    授業メモでは,欠陥や「実は考えていない」ということを,見過ごしてしまう。 完全台本をつくるということをしなければ,それらに気づけない。

    ただし,このように言っても,学生はなかなか完全台本の作成に及ぼうとしない。
    「勉強に時間をかけて取り組む」を敬遠し「なんとかなるだろう」を選ぶのが,今日の学生の傾向になっている。