Up 要 旨 作成: 2006-10-06
更新: 2006-10-06


    学校教員養成課程においては,「日本の公教育の歴史」を学習することになる。 そしてそこでは,公教育の戦後史が自ずと中心的なものにならねばならない。

    公教育の戦後史は,教育行政に対する日教組の対立構図で特徴づけられる。
    公教育のさまざまな問題・論点で,日教組が行政にことごとく対立してきた。

    この対立は,イデオロギーのつくるものであって,自由主義/デモクラシーの「<個の多様性>の立場から互いに異なる意見・考えをたたかわせる」というものとは違う。イデオロギーの真髄は,世界を善と悪に分けること。実際,日教組のつくる対立構図は,「邪悪な政府・与党と正義の日教組」の趣きになる。


    この対立を対決へと進めることが行政と日教組の双方にとって得策ではない時代が,つい最近まで続いた。 この間,「対決へと進まないよう,両者結託で論点・問題を引っ込める・隠蔽する」ということが行われた。
    たとえば,日本の戦後史は公教育ではまともに扱われないが,それはこのような力学による。

    現在,日教組は勢力を著しく減じている。 これは,日教組が依拠するイデオロギー (サヨクイデオロギー) の衰微と同じである。
    行政と日教組間の従来の力の均衡が,崩れてきた。なあなあの関係を続けるその基が,無くなった。そして,行政の方が対決姿勢に転じてきた。

    いま,時代はこのように進んでいる。
    少し前までは,教育の場で日教組やその他教員組合について言及するのは,はばかられたり,タブーといった感じさえもあったが,もういい加減このような風潮は終わりにした方がよい。実際,学校教員養成課程にある学生は,教員組合関連のことを知らないわけにはいかないし,的確な理解に努める必要がある。