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JOGMEC「鉱物資源マテリアルフロー 2022 8.リチウム (Li)」, p.3
塩湖のかん水とスポジュメン(リチア輝石)鉱石を原料として、炭酸リチウムや水酸化リチウムなどのリチウム製品が作られる。
塩湖のかん水は、天日蒸発などで濃縮後、不純物を沈殿させ精製し、炭酸リチウムが作られる。
スポジュメン鉱石は、精鉱を焙焼、酸処理後精製して炭酸リチウムが作られる。
水酸化リチウムは、炭酸リチウムの水酸化処理(Ca(OH)2置換)により作られるが、スポジュメン鉱石からは、炭酸リチウムを経ず酸性溶液から直接精製することも可能である。
リチウムの電気的特性から高い電位と高容量が得られる LIB は実用化されている二次電池の中で最もエネルギー密度が高く、リチウムの最大用途となっている。
原料として、炭酸リチウムはLIBのニッケル系以外(コバルト系、マンガン系、三元系等)の正極材と電解質に使われ、水酸化リチウムはニッケル系、三元系正極材に使われており、それぞれの主要用途となっている。
LIB用途のほかに、炭酸リチウムはガラストップコンロなどに使われる耐熱強化ガラス、ハードディスクドライブ(以下HDD)ガラスに添加される窯業添加剤や鉄鋼連続鋳造用のフラックス、弾性表面波フィルター(以下SAW)、医薬品(うつ病治療薬等)にも利用されている。
水酸化リチウムは、LIB用途のほか潤滑グリースとして使われるステアリン酸リチウムの原料として利用され、このリチウムグリースは高度の耐水性があり、自動車用グリースの3分の1を占めている。
臭化リチウムは、冷媒(水)吸収能力が高く、ビル・工場などの大型空調用吸収式冷凍機の冷媒吸収材として利用され、この用途がほとんどである。
塩化リチウムは、吸湿性から空調除湿剤に、また、フラックス時の温度特性(共晶による融点降下)から溶接フラックスで使用されている。
金属リチウムは、一次電池の負極材の箔や、合金の還元剤として用いられる。
リチウムを陰極にしたリチウム電池はニッケル-水素電池に比べ単位体積当たりに蓄積できるエネルギーも2倍近くになる性質がある。
また、アルミ・リチウム合金は航空機の構造材としても使用されている。
炭素とリチウムが結合した有機リチウム化合物は有機合成の重要な反応剤であり、金属リチウムから製造されるブチルリチウムはポリブタジエンやスチレン・ブタジエンゴムの重合開始剤として使われる。
以上の利用のほかに、ガラスや金属、コンクリートなどに添加すると、物性を著しく改善する性質があり、亜硝酸リチウムはコンクリート補修材(コンクリート用化学混和剤:防錆剤、アルカリ骨材反応抑制剤、中性化抑制剤.)として使われる。
また、ガラス産業において融点降下剤としてリチウム鉱石が利用されているほか、リチウムを含む鉱物であるペタライト(葉長石)粉末が耐熱陶器(土鍋等)原料や研磨剤材料として使用されている。
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