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JOGMEC「鉱物資源マテリアルフロー 2022 5.白金族 (PGM)」, p4
白金族(以下PGM)としては、プラチナ、パラジウム、ロジウムのほかに、イリジウム、ルテニウム及びオスミウムの6元素があり、物理的性質や化学的性質が互いによく似ている。‥‥‥
プラチナは、‥‥‥宝飾用や医療用としての用途の他に、自動車用排ガス触媒に必要不可欠な材料として広く利用されており、現在はディーゼル車用触媒に主に使用される。
その他に石油精製用触媒や、電気・電子デバイス用として酸素センサーやプラグ、熱電対の電極、スパッタリングターゲット材や単結晶用るつぼとしての需要もある。
また耐熱強度も強く、ガラスに対する化学反応性が低いことから、ガラス瓶以外の製造プロセス中でるつぼや耐食部材として使用されている。
パラジウムは、‥‥‥自動車用排ガス触媒として重要な材料であり、現在はガソリン車用触媒に主に使用される。‥‥‥
その他に化学触媒、歯科用材料、電子回路用配線パターン、宝飾用など幅広く使用されている。
ロジウムは、‥‥‥強度を増すために合金として利用されている。
また、ロジウムは還元特性に優れ、酸化特性に優れるプラチナ、パラジウムと共に自動車用排出ガス三元触媒の必須元素であり、更に石油精製触媒、熱電対電極などに使用されている。
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同上, p1
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同上, p.4
プラチナの地殻存在概量を示すクラーク数は 5ppb 相当で,74番目、マントルの平均値でも 8〜9ppb と存在量は極めて少ない。
鉱山は大きく分けて、PGM中心でかつ比較的含有率の高い南ア、ジンバブエ、米国と、そして銅やニッケルの副産物として採掘しているロシア、カナダに二分される。
資源量が豊富な鉱山の多くは、南ア北東部のブッシュフェルト貫入岩体に存在する。
それらの鉱山では、
4E(プラチナ、パラジウム、ロジウム、金の合計)の品位が 3〜7ppm の鉱石を採掘し、
粉砕・磨鉱・浮遊選鉱で 4E 100〜600ppm の精鉱を作り、
電気炉で製錬しマットを製造した後、
精錬処理(不純物であるベースメタルを取り除く)を経て、
各PGM が元素別に分離・精製されている。
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日本の年間プラチナ需要量は,純分で「210t」の「10%」,即ち 21t。
資源豊富な南ア・ブッシュフェルト鉱山の 4E の品位が 3〜7ppm ということなので,プラチナを 2ppm に見積もる。
そうすると,プラチナ 21tを得るために採掘する岩石の量は,
21 ÷ ( 2 ÷ 104+2 )
= 10.5 × 106
= 1050 万t
この量がそっくり岩石廃棄物量になる。
岩石廃棄場は既にサバクであるから,岩石廃棄物の追加はサバクの拡大である。。
そしてこれに,露天掘りした分だけ,サバクが加わる。
こうして,日本のプラチナ需要の代償は,1年に<岩石廃棄物1050 万t以上>相当のサバク拡大。
このサバク化を他国に負わせられていることに,感謝すべし。
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