Up 月と小惑星 宝の山」に騙される 作成: 2024-03-12
更新: 2024-03-12




    ひとは,この手の絵に騙される。
    政府も騙されて,「この研究をやってます」と言ってくるところに金を出す。

    簡単に騙せるので,この手の詐欺は後を絶たない。
    そして,詐欺の片棒担ぎなのが,マスコミである。


    どうしたら騙されないか?
    <わざと抜かしているもの>を追求するのである。

    上の絵には,月でショベルカーが作業している。
    そこで,つぎのように追求する:
     「 ショベルカーだけでは足りない。 運搬トラックや,掘っている穴,土砂を積んだ山も描いてくれ。 そして稼動している車・機械の内訳と台数も示してくれ。
    稼動している車・機械は,現地で組み立てることになる。 メインテナンスも要る。 それをする工場を,中の設備とともに,描いてくれ。
    動力源はさしずめ電気だろうから,発電所も描いてくれ。 そしてその発電所の発電量は?
    作業員は全部で何人いるのか?  彼らの宿舎も,作業現場と宿舎との位置関係がわかるように描いてくれ。 彼らの作業着も描いてくれ。
    作業員の作業内訳と1日のタイムテーブルは?  昼食はどうやってとるのか? トイレは? 水分補給は?」

    以上をなんとか描いてきたら,つぎのように追求する:
     「 これらのことを実現した作業が,先行してあったはずだ。
    その作業を描いてくれ。
    即ち,必要施設,機械,作業員の数と作業内訳,等々。」


    追求される者は,ここでこの追求の構造が,はたとわかる。
    その構造は,「無限遡行」である。
    機械・工場・その他施設の組立ては,これを行うための機械・工場・その他施設の組立てが要るのである。


    ロケットは,構造体の部品,人員,その他諸々を,小出しに月に送るしかない。
    そしてこの小出しが鉱山採掘スケールに至ることは,無い。
    ほぼ無限の階梯を踏まねばならず,そしてロケットは高価だからである。

    「ほぼ無限の階梯」は,生物進化に似ている。
    地球上に多細胞生物が現れるまでに,長い時間を要した。
    長い時間を要したのは,小さな有機物から始まって多細胞生物に至るには,「ほぼ無限の階梯」を経なければならないからである。


    <騙されない>から<達観>へ
    月と小惑星 宝の山」の絵が騙しであることは,少し論理的に考えればわかることである。
    この手の絵に対するときの構えは,「こんな詐欺も生業のうち」である。
    詐欺は生業のうちであるから,否定するものではない。
    詐欺は,その手口を明かして楽しむものである。