Up | 権力への迎合は,螺旋ダイナミクス | 作成: 2021-07-16 更新: 2021-07-16 |
この問題は,正答が無い。 この問題で自分の考えの正しさを競う者は,問題には正答があると思っている者である。 この問題は,正答を迫る問題ではなく,己の立場の選択を迫る問題である。 権力は,己を正義にして,ひとに正義を要求する。 ひとは,この正義を受け入れるか受け入れないかのどちらかになる。 正義を受け入れないことは,反正義になる。 こうしてひとは,権力を前にするときは正義か反正義かである。 自由とは,権力が要求してくる正義からの自由である。 自由は,権力が要求してくる正義を受け付けない。 よって,反正義になる。 自由を立場にすることは,自ら進んで反正義になるということである。 権力が要求してくる正義には,是々非々で対するということはできない。 一度正義を受け入れると,ずっと正義を受け入れることになる。 正義とはそういうものだからである。 一度正義を受け入れた者は,以降しつこく正義につけ込まれることになり,そしてすべて受け入れることになる。 一事が万事なのである。 商いは,自由が本質である。 よって,商いは反正義である。 実際,古今東西,商人は汚らわしい者にされてきた。 (『ベニスの商人』,「士農工商」) 日本の企業の経営者には,善の求道者のような物言いをする者が多い。 それは,商人は汚らわしい者にされてきたからである。 汚らわしい者にされたくないという心理/無意識が,善の求道者をパフォーマンする者に己を成してしまうのである。 これは,アメリカの企業の経営者には無い。 アメリカは,「ベニスの商人」で成功することも最も大きなドリームになる風土・文化の国だからである。
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