Up カウンター・カルチャー : 要旨 作成: 2021-06-26
更新: 2021-06-26


    ひとは,大衆の自分と個の自分に分裂している。
    ひとはこの分裂を,「だれでもそう」で折り合いをつける。
    「タテマエとホンネ」「天使と悪魔」のことばがあることで,安心する。
    分裂と折り合いをつけられないときは,個の自分を抑え込むか,大衆の自分を見ないようにするか,になる。

    ひとのこの分裂に対応して,カルチャーも分裂している。
    マス・カルチャーとカウンター・カルチャーである。


    マス・カルチャー対カウンター・カルチャーの二分法は,「表と裏」「光と陰」「白と黒」のように言い表されてきた。
    これらのことばから受けるカウンター・カルチャーの印象は,「マス・カルチャーから締め出されたもの/逃げてきたもの」である。
    しかしカウンター・カルチャーには,マス・カルチャーをシャットアウトするもの──正義 (クレイマー) が自分に寄って来ないようにする仕掛け──の意味がある。

    即ち,マス・カルチャーから自由であろうとする者は,カウンター・カルチャーの一本でいく必要はない。
    正義 (クレイマー) 向けの顔として,マス・カルチャーの看板を偽りで立てる。
    そして,正義 (クレイマー) の入って来ないカウンター・カルチャー・ゾーンを構築する。


    「構築」ってどんなふうに?
    <売り物>にするのである。
    正義 (クレイマー) は,カウンタ・カルチャー物を買わない。
    買うことは,欲しくて買うことになるからである。

    小説・漫画,演芸,映画,ネット配信番組は,これである。
    これらは,悪者や反正義に拍手喝采を送るためにつくられるのである。