Up 人体の被曝線量──シーベルト (Sv) 表現 作成: 2024-08-30
更新: 2024-08-30


    ここまで,「被曝量」として「等価線量」を定義するところまで来た。
    ここで,つぎのことを問題にする:
      「放射線の影響度は,人体の組織によって違う」
    「被曝量」の定義は,これを含み込んだものにしなければならない。


    そこで,「組織加重係数」をつぎのように導入する:
組織 組織加重係数
赤色骨髄、結腸、肺、胃、乳房 0.12
生殖腺 0.08
膀胱、食道、肝臓、甲状腺 0.04
骨表面、 脳、唾液腺、皮膚 0.01
残りの組織の合計 0.12
係数合計 = ( 0.12 × 5 ) + ( 0.08 × 1 ) + ( 0.04 × 4 )
+ ( 0.01 × 4 ) + 0.12 = 1

    等価線量に組織加重係数を乗じて, 「組織被曝の線量」とする。
    組織被曝の線量の総和を「実効線量」と定義して,「人体被曝の実効線量」と見なす。
    等価線量の単位は Sv なので,実効線量の単位も Sv。


    実効線量は,上の表中のすべての組織が被曝したとき,等価線量と同じになる。
    よって,一般に 実効線量 < 等価線量 である。