Up 前進式・後退式 作成: 2024-01-28
更新: 2024-01-28


      平凡社『世界大百科事典』,1988,「採炭」から引用
    採掘区画の採掘を主要坑道の周辺から始めて,採掘区画の境界へと推し進めていく方式を前進式と称し,逆に,まず採掘区画末端部へ坑道を展開したのち,奥から主要坑道へ後退しながら採炭を行ってくる方式を後退式と呼んでいる。
    前進式は,前述の沿層坑道方式に似ていて,採炭準備が早くできてすぐに出炭ができ,投資額が少なくて済むという利点をもつが,断層や炭層の性質の変化が多い場合やガス湧出の多い区域には適当でない。
    採掘区画の採掘が終了するまで採掘跡に坑道を維持しなくてはならず,また,これらの坑道からの漏風が採掘跡の残炭の自然発火を誘発することがある,などの欠点をもっている。
     後退式の特徴は前進式の特徴の裏返しということになるが,いずれの方式を採用するかは,地層状況,保安上の問題,坑道維持の難易などによって決められる。
    保安上は後退式のほうが有利であるといわれている。