Up <沙流浜拡大>のダイナミクス 作成: 2024-05-27
更新: 2024-06-11


2024-05-26
防潮堤の下
以前は,満潮時には波が寄せていた。
いまは,砂浜が拡がり,草も生えている。



砂浜に下りる
礫が多く混じっている。
これは,沙流川が運んできた土石がそのまま堆積していることを示す。



沙流川の河口へ移動



河口の川縁は,土石が彎曲の形に堆積



消波三柱ブロックが,かなり土石に埋もれてしまっている



    以下,この砂浜拡大の理由を推理してみる。


    海底が緩傾斜の海に流れ出る大きな川は,河口の脇に砂浜をつくる:
      河口まで来た川の流れは,海が壁になることで,沿岸流になる。
      沿岸流は,川が運んできた土石を,岸に沿って堆積させる。
      これが砂浜になる。
    石狩川に対し石狩浜といった具合に,沙流川には沙流浜がある。

    沙流川は,大雨で増水すると大量の土石を河口に運ぶ。
    そしてこれが,沿岸流で岸に運ばれる。

2022-08-12, 15:08
このとき,沙流川の河口はすさまじい激流になっていた。
画像に海の波が見えないのは,河口から海へ押し出して拡がる激流が圧倒しているため。
この流れの陰になって,波が無いのである。


    沙流川のこの増水は,停滞前線にともなう大雨が,ここまで続いていたためである:

    そしてこのとき,岸から離れた海上に土石・流木が(おもて)を出しているのが観察された。
    堤 (ridge) が形成されているのであった。

    この時以降,沙流川が河口に運んできた土石は,この堤と岸の間の浅水域 (runnel) に運ばれることが多くなったと考えられる。
    その浅水域は次第に土石で埋まり,ついに一続きの浜になった。

    つぎは,Google Map で現在 (2024-05-27) 表示される沙流川河口域。
    Google Earth でも同じものが表示され,作成が 2023-10-15 となっている。
    いまは,これとは変わっている。
2023-10-15


    堤と以前の砂浜の間に,砂浜に流れ入る水 (runnel) の跡が見える (黒い筋)。
    いまこれは,明瞭には無い。
    新しい岸から一旦下りそれから砂丘へと上る凹傾斜 (berm) に変わっている:
傾斜を誇張して表現



    但し,ここは地下水位の高いところになっている。
    特に防潮堤の近くは,土石の堆積が少ない分,地下水位が高い。
    潮位が上がると,地下水が地表に浮き上がってくる。
2024-06-11



    結論:
    海上の堤 (ridge) と以前の砂浜の間 (runnel) が埋められて,今の拡大した砂浜になった


    備考:
    いまの沙流川は,河川敷 (土手で挟まれた域) の中の流れを,さらにその両岸を河口まで護岸することで,固定している。
    しかし,河口は土石の堆積で浅くなり詰まるものなので,その上を通る川の流れは細くなる。
    その流れは,土石の堆積と相互作用する。
    こうして,流れの向きは一定しない。
    また,増水すると,堆積した土石が海に押し出され,河口の形が大きく変化する。
    そして以上に伴い,沙流浜の形・面積が変化する。